消費者物価は３カ月連続拡大、エネルギーが押し上げ－コアコアは鈍化
（ブルームバーグ）： ７月の全国消費者物価指数（生鮮食品を除くコアＣＰＩ）は、３カ月連続でプラス幅が拡大した。エネルギー価格の上昇が全体を押し上げた。一方、エネルギーも除くコアコアＣＰＩは鈍化しており、日本銀行の追加利上げ時期を巡って市場の思惑が交錯しそうだ。
総務省が23日の発表によると、コアＣＰＩは前年同月比2.7％上昇。市場予想と一致した。日本銀行の目標の２％を上回るのは28カ月連続。エネルギーは12％上昇と伸びが加速。政府からの補助金がいったん終了したことで、電気代とガス代のプラス幅が拡大した。一方、生鮮食品を除く食料は2.6％上昇と11カ月連続で鈍化した。
コアコアＣＰＩは1.9％上昇に減速した。プラス幅の縮小は２カ月ぶりで、２％を割り込むのは2022年９月以来、22カ月ぶり。
日銀の植田和男総裁は追加利上げを決めた７月末の金融政策決定会合後の会見で、経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば「引き続き金利を上げていく」とタカ派姿勢を鮮明にした。米経済の減速懸念も重なり、その後の金融市場は大きく不安定化。引き続き市場の動向と日銀当局者の情報発信を見極めながら、追加利上げの時期を探ることになる。
明治安田総合研究所の藤田敬史エコノミストは、円安による食料価格の上昇圧力が和らいでおり、引き続き鈍化要因になるとした上で、物価は「 趨勢としては弱い」と指摘。こうした中でも「日銀は引き続き金融正常化のスタンスを継続する」とみており、12月の追加利上げを予想しているという。
植田総裁はきょう、衆参両院の閉会中審査に出席し、利上げ決定後の金融市場の変動を踏まえて金融政策運営に関して説明する。内田真一副総裁は７日、金融市場が不安定な状況で利上げは行わないと述べており、総裁の発言に変化がないかを市場は注視している。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は前年同月比1.4％上昇となり、前月の1.7％上昇からプラス幅が縮小。23年２月以来の低水準となった。今年の春闘の平均賃上げ率が33年ぶりの高水準となる中で、賃金から物価への転嫁が進展するかが注目されている。
