北海道スペースポート整備「大樹町で年間10機のロケットを打ち上げたい」…スペースコタン・小田切義憲社長
国は、30年代前半までに、年間30機のロケットを打ち上げることを目標に掲げている。我々は、将来的には大樹町で年間10機を打ち上げたいと考えている。そのために、海外からも事業者を呼び込んでいきたい。台湾のロケット打ち上げ事業者の日本法人、jtSPACEは大樹町から打ち上げることを表明しており、関係各所と調整を進めている。
大樹町は土地が広く、東と南の両方が海に面していて、打ち上げ環境に適している。市街地から車で20分ほどの場所に射場があり、帯広市まで約1時間と、アクセスも良い。『天然の良港』であることを、ヨーロッパをはじめ、世界の国々にもアピールしている。
日本の法令は海外からの参入障壁となる懸念がある。高圧ガス保安法や電波法などは本来、ロケット打ち上げを想定していない。日本は諸外国よりも規制が厳しいので、特区を設けて緩和することなどを考えてもらえると、手続きも容易になり、ロケット事業者の利便性は高まる」
――海外の商業宇宙港と覚書を結んだ。大樹町での打ち上げ増加に期待がかかる。
「民間企業による宇宙産業が拡大し、ロケットや人工衛星の打上げ需要が高まっている。ロケット事業者は打上げ機会を確保するため、世界の複数宇宙港での利用を検討する動きが始まっている。
ロケット射場は、機体の特徴に合わせた設備が必要なため、施設や設備の共通化を図る。そうすれば、日本で造ったロケットが米国で打ち上げられ、米国のロケットがHOSPOから打ち上げられる。(宇宙港同士が連携する)P2Pを見据えた運営も検討していく」
経済波及効果、年267億円
――北海道に宇宙産業が集積する「宇宙版シリコンバレー」をつくることを目指している。
「HOSPOが整備されることによる道内の経済波及効果は年間267億円、約2300人の雇用創出、観光客は約17万人増加するという試算が出ている。大樹町には宇宙関連の企業が集積し始め、室蘭工業大学などもサテライトオフィスを設置した。