市販車への技術転用が盛んな現代F1は“1970年代”さながら? 2026年復帰のフォード「我々はバッテリー技術を磨きにいく」
フォードCEOのジム・ファーリーは、レッドブルと進める2026年に向けたF1参戦の準備が順調に進んでいると経過を語る中で、現代のグランプリへの関わり方が“1970年代”を思い起こさせると語った。 【動画】フォードのF1での旅が再び始まる……新章はレッドブル・レーシングと共に|#FordReturns 2026年にF1のテクニカルレギュレーションが大きく変更されることとなっており、フォードはレッドブルのパワーユニット(PU)部門「レッドブル・パワートレインズ」が進める次世代PUの開発に携わる。 次世代PUでは電気エネルギーが総出力の約50%を占めることになるため、レッドブルが必要とするバッテリー技術をフォードが提供することになったのだ。 1月17日(水)の夜、フォード・パフォーマンス・モータースポーツ部門の2024年シーズン発足式がノースカロライナ州・シャーロットで行なわれ、ファーリーCEOはF1プロジェクトの進捗について語った。 「ミルトンキーンズにいるチームや(レッドブルでチーフテクニカルオフィサーを務める)エイドリアン・ニューウェイと多くの時間を過ごす機会があった」と登壇したファーリーCEOは語った。 「2026年というのはずいぶんと先のことのように聞こえるが、パワートレインに関してはまだやるべきことが沢山ある。ただ、進歩にはとても満足している。もっと話すことができたらいいのだが、軌道には乗っているとだけ言っておこう」 フォードにとっては、ジョーダン(現アストンマーティン)にエンジンを供給し、傘下ブランドだったジャガー(現レッドブル)としてグリッドに並んでいた2004年以来のF1参戦となる。ただファーリーCEOは、その頃とは全く異なるアプローチでグランプリへ挑むことになると語った。 というのも、彼は現代のF1における研究・開発で培われた技術が市販車などに活かすことができると考えているのだ。2026年に向けては、フォードだけでなくアウディやホンダもPUマニュファクチャーとして参戦することとなっており、大手自動車メーカーを惹きつける”走る実験室”としての魅力があると言える。 「我々は、過去にはなかった方法でF1に戻ろうとしている」とファーリーCEOは言う。 「世界最高のエアロダイナミクス、最高のテレメトリー、最高のデジタル分析がF1にあると理解している」 「そして実際、EVにはそれら全てが必要なのだ。純粋な技術転用という意味で、1970年代に戻るということになる」 「これは自分たちのチームを持つということではない。文字通り、技術を(市販車へ)活かすために行くのだ。2026年には50%が電動化され、高出力のバッテリーが必要になるが、我々は彼らにバッテリー技術を提供できる。我々がNHRA(全米ホッドロッド協会)でそうしているようにね」 「その一方、我々はテレメトリやデジタル分析、エアロダイナミクスなどの技術を得ることができる。それは市販されるEVのバッテリーを小型化するのに役立つかもしれない」 またファーリーCEOは、フォードがEV市場でトップに立つために、レッドブルが持つ知識と技術が必要だと付け加えた。 「彼らは多くの技術領域において世界一で、自動車ビジネスが変化していく中で我々は彼らを本当に必要している」とファーリーCEOは言う。 「文字通り、技術転用が行なわれていた時代に戻るようなものだ」 そしてファーリーCEOは、フォードとレッドブルの技術交流だけでなく、サーキットで成功を収めることの重要性を強調した。 「我々は最高のチームに携わることとなる」とファーリーCEOは言う。 「最高のドライバー、最高の技術サポートがある」 「彼らをサポートするために、我々は世界中のフォードから選りすぐりを集めた。そしてミルトンキーンズのパワートレイン部門は、まさに一流だ。我々は表彰台の頂点に立つため、最高を目指すのだ」
Jonathan Noble