【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第19ステージ】逃げを貫き、下りで仕掛けたヴェンドラーメが独走勝利。ピンク集団は静かな1日。Gの落車にも「みんなが互いに敬意を払った」
この時のアラフィリップがすんなり再合流を許したのは、雨のせいかもしれない。大急ぎでライバルを振り払うより、下り前に雨具を着込むほうを選んだ。そして、濡れた下りを、用心深く下っている最中だった。残り28km、ヴェンドラーメに加速を仕掛けられてしまう。
「ちょっと奇妙な感じで先に行かれてしまった。彼は全力のダウンヒルに転じた。ところが逃げの仲間たちは、ヴェンドラーメを追いかけることよりも、僕の監視に忙しいようだった」(アラフィリップ)
もちろんアラフィリップはすぐに後を追いかけた。ただ次々と合流してきたライバルたちは、協力する様子を見せなかったし、むしろ雨具を脱いだり補給を取るのに忙しかった。残り15km、最終2級峠の登坂口に差し掛かり、しびれを切らしたアラフィリップが加速を促した頃には、すでにヴェンドラーメのリードは1分に広がっていた。
「そのうち誰かが追いついてくるだろうと考えていたんだけどね。とにかく僕は一定のハイペースを保ち続けることに集中したし、チームカーが僕を励まし続けてくれてた」(ヴェンドラーメ)
ラスト12kmの加速を最後に、「脚が悲鳴を上げた」というアラフィリップはとうとう力尽きた。代わってシュタインハウザーが先頭に立つも、「チームメイトを逃げに乗せるのが使命で、自分が逃げるつもりはなかった」という22歳も、2日前と同じような激走は見せられなかった。何度突き放されようが何度でも這い上がってきたサンチェスが、残り7km、いよいよ単独で追走に乗り出すが……「最終盤の道を知り尽くしていた」ヴェンドラーメとの距離を縮めることなどもはや不可能だった。
3年前に手にした初めてのジロ区間勝利は、一騎打ちスプリントの果てだった。2度目のこの日は、悠々と勝利を満喫することができた。両手を何度だって天に突き上げた。メイン集団がたどり着く前に、フィアンセを力いっぱい抱きしめる時間さえあった。所属チームのデカトロン・AG2Rラモンディアルにとっては、10日目ヴァランタン・パレパントルに続く区間2勝目であり、つまり創設33年目にして初めてひとつのジロで2つ勝ったことになる。同時に10年ぶりとなる今大会チーム総合首位の座にも、また一日、近づいた。
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