是枝裕和監督、大ファンの女優・斉藤由貴は「コメディエンヌも悪女も魅力的」
『そして父になる』や『海街diary』などで知られる是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』。本作で夫を殺害された妻・美津江を演じたのが、近年女優として再ブレイク中の斉藤由貴だ。「以前から大ファンで、いつかご一緒したかった」という是枝監督が本人を前に魅力を語りつくした。
コメディエンヌと悪女の両方の魅力を持つ女優
斉藤と言えば、1985年に「卒業」で歌手デビューし大ヒットを飛ばすと、同年、相米慎二監督の映画『雪の断章 -情熱-』でスクリーンデビューも飾る。その後も歌、テレビドラマ、映画、執筆活動と幅広いジャンルで活躍を見せていたが、是枝監督は 「歌から入りましたが、やはり役者としての斉藤さんが一番。僕は相米監督が大好きということもありますが、やっぱり『雪の断章 -情熱-』が出発点ですね。その後も、いろいろ拝見していますが、三谷幸喜さんとの舞台(「紫式部ダイアリー」)も魅力的でした。コメディエンヌとファム・ファタール的な悪女という両方の魅力を持つ稀有な女優さんだと思うんです」と女優・斉藤由貴の魅力を語る。 コメディエンヌとファム・ファタールという両極端な魅力を兼ね備えるなか、本作で是枝監督は、夫を殺害された妻という被害者の側面を持ちながら、奥底にどす黒いなにかを匂わせる役柄を与えた。 「いままでも機会があればと思っていたのですが、ようやくご一緒できました。作品のテイストもあり、今回は『守るためのものなら、いくらでも嘘がつけるし、なんでもしてしまう』という役柄を演じてもらったんです」。 そんな是枝監督からのラブコールに斉藤は「話の腰を折ってしまってはと思って黙っていたのですが、熱望していたのは私の方だと思います」と照れ笑いを浮かべると「以前から作品を拝見していて、海外でも大きな賞を受賞するなど、すごい方なのはわかっているのですが、そういう部分ではない、是枝監督ならではの静謐感に魅力を感じていて、私も一女優として、いつか監督の映画空間の一要素として存在してみたいと強く思っていたんです」と胸の内を明かす。