山本由伸「失敗すればユニホームを脱ぐ覚悟はあります」 オリックス入団時の担当スカウトが明かすフォーム秘話
◆米大リーグ カブス1―4ドジャース(6日・米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド) オリックス入団時の担当スカウト・山口和男編成部アマチュアスカウトグループ長(49)が山本由伸の初勝利を祝福した。 メジャー初勝利、本当におめでとうございます。ピンチでの対応力はさすがでした。家族のことのようにうれしいです。アメリカでも「由伸伝説」が始まりますね。 今のフォームを取り入れたのがプロ2年目です。周囲は当初、故障のリスクを心配しました。由伸を思っていろんなことを言ってくれる中で、本人がそれを素直に聞き入れられないという状況がありました。当時の福良(淳一)監督(現GM)も心配されていたことを知り、キャンプ地の宮崎へ向かいました。 パイオニアのような存在になるのは、大変なことだよ。失敗した時は、誰も責任を取ってくれないよ。思っていることを伝え、由伸の考えも聞かせてもらいました。「最後まで自分でやり切りたいです。これで失敗すれば、ユニホームを脱ぐ覚悟はあります」というのが答えでした。そこからは誰が何と言おうと、芯の部分を曲げず、予想以上のスピードで成長してくれたと思います。 メジャー初登板の2日前にメールをしました。国歌斉唱の写真付きで、前向きな返事がありました。「調子が上がってきました。いよいよ開幕なので頑張ります」と。由伸からネガティブな言葉を聞いたことがありません。 目標「世界一の投手」 スカウトとして選手を獲得し、縁をつくることは、選手の人生を大きく変えてしまうことだと思っています。縁をつくらせてもらった選手は家族同然。うれしいことに、由伸も「ファミリー」と言ってくれます。毎年1月1日に「今年もよろしくお願いします」と電話であいさつをしてくれるのも人間性だと思います。「目標は世界一の投手になることです」と断言してくれたのがプロ5年目。誰もが認める、世界一の投手になってほしいと願っています。(山口 和男)
報知新聞社