「齊藤」→「斉藤」はまあいいが「齋藤」→「斉藤」は大失礼だった…正式文書でやらかすと面倒臭い字の鍵は"訓読み"
■サイトウさんにはくれぐれも気をつけて 日本人にはいろいろな名前があり、なかには同じ読み方でも、幾通りの表記をする苗字もあります。たとえば同じサイトウさんでも「斉藤」「齊藤」「斎藤」「齋藤」など、ワタナベさんには「渡辺」「渡邊」「渡邉」などの表記がありますね。この場合、仮に正式な表記は「齋藤」でも、「斉藤」の表記で手紙やメールを書くのは、どれほど失礼にあたるのでしょうか(※本来であれば「齋藤」を「斉藤」と書くのは誤りです。同じだと思っている方もいるのではないでしょうか)。 ここで自己紹介をいたします。私は「髙田将代」と申します。マナー講師をしております。実は私の苗字のタカダも、一般的な「高」ではなく、いわゆる“はしごだか”の「髙」を使うのが正しい表記です。まさに今回の「髙田」を「高田」と書いていいのかという問題の、当事者ですね。 結論から言うと、私自身は、まったく気にしておりません。「高田さま」と誰かがメールで書いてきても、特に気になりません。まして「字を間違えるなんて、マナーのなっていない人ね」と腹を立てたこともありません。 それどころか、自分自身も「高」の字を使うことがよくあります。たとえばメモ程度にさらっと書く場合、「髙」の字で書き分けるのが面倒なこともあるからです。 時々、私へのメールで「高田さま」と書いた方が、その後すぐに「『髙』の字を間違えてしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪のメールを送ってこられることがあります。このときの私の本音は「かえって気を使わせてしまい、申し訳ありません」です。「丁寧できちんとした方だな」と思う半面、私はまったく気にしていないのに、わざわざ謝罪させてしまったと、申し訳ない気持ちになるのです。 ちなみに、私の下の名前「将代」も、正式には「将」でなく「將」の字で表記します。しかしながら普段は、画数が少なく、書きやすい「将」の字を使っています。ビジネスで使う名刺なども「将」で表記しています。「将」の字のほうが、みなさまに馴染みがあり、また書くときにも負担をかけないのではという理由からです。