「齊藤」→「斉藤」はまあいいが「齋藤」→「斉藤」は大失礼だった…正式文書でやらかすと面倒臭い字の鍵は"訓読み"
■私自身、「髙田」を「高田」と書かれても気にしませんよ というわけで、私自身は「髙田」を「高田」と書かれてもまったく気にしません。しかし、人は皆違います。名前は大切なものですので、常に正しい漢字表記を望む方もいらっしゃるでしょう。怒る人に会ったことはありませんが、不快に思う人がいるかもしれないことを、胸においておきましょう。 ただし、サイトウさんの場合は注意が必要です。本来は「斉」と「齊」が同字異字体の関係(訓読み:ひとしい)、「斎」と「齋」が同字異字体の関係(訓読み:いつき)です。つまり「齋藤」を「斉藤」と書き換えることはできませんので、気をつけましょう。 なお、正式なビジネス文書、招待状などのフォーマルな書面では原則として正式な漢字表記で書きましょう。メールなどのテキストでは、文字化けを考慮して一般的に使われる漢字を使う人もいますので、その場合は、そちらでかまわないと思います。 名前はその人そのものを表すものであり、名前を大切に扱うことは、その人を大切に考えることと同じです。日常会話の中でも、単に「おはようございます」と言うよりも「○○さん、おはようございます」と名前を加えたほうが、その方に話しかけていることが伝わり、よりよい関係性を築けます。名前には相手とのコミュニケーションを左右する力があるのです。 ビジネス上での初めてのやりとりでは、正しい表記が必要です。しかしお付き合いを重ねる中で、相手が自ら「髙田」を「高田」と書いていたり、私のように正式表記でなくていいと明示している場合は、日常のやりとりで問題になることはないでしょう。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年10月4日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 髙田 将代(たかだ・まさよ) マナーコンサルタント 国宝・當麻曼陀羅を有する奈良の當麻寺に生まれる。大学卒業後、伊藤忠商事に勤務。フィニッシングスクールなどで学んだ後、マナー講師となる。全国各地で研修や講座を行う。著書に『オトナ女子のふるまい手帖』。 ----------
マナーコンサルタント 髙田 将代 構成=力武亜矢