【レビュー】『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』のアクションはパーティーゲームと侮れない奥深い仕上がり
ひとりでもじっくり遊べるモードが充実
多人数で遊ぶのが醍醐味の本作ではあるが、ソロでじっくり遊べるコンテンツも充実しているのが嬉しいポイント。その中から「ストーリーモード」「部室モード」「ゴルシちゃんの大冒険II」をフィーチャーしていく。 ■笑いあり熱血ありな「ストーリーモード」 「ストーリーモード」では、チーム<コスモス>、チーム<フリージア>、チーム<ローズ>、チーム<リリィ>の4チームからひとつを選択して、全7章の物語を競技に挑戦しながら楽しめる。競技パートはポーズ画面から「競技終了後にスキップ」を選択すれば、勝利したことにして競技後の会話まで飛ばすことができ、物語だけを楽しむことも可能だ。この場合、競技クリア報酬はもらえないが、シナリオ初回クリア報酬は獲得できるし、一部のウマ娘の解放条件にもなっている“ストーリー7章をクリア”も達成できる。普段パソコンや家庭用ゲーム機で遊ぶことがあまりないユーザーへの配慮もしっかり行き届いているのはさすがだ。 本作でしか見られない各チームの物語は、ドット絵で描かれたウマ娘たちが表情豊かに動きまわる姿が愛おしいし、笑いあり熱血ありのお話が展開されてどれも楽しい。筆者は特に、スペシャルウィークとエルコンドルパサーの熱いライバル関係が見られるチーム<コスモス>と、ゴ―ルドシップの破天荒な行動に振り回されるメジロマックイーンたちが面白かわいいチーム<ローズ>がお気に入りだ。 ■自分だけのレイアウトでカスタムできる「部室モード」 ストーリーや対戦を遊ぶことで入手できる「トレセンポイント」は、ショップで家具や壁紙などのアイテム購入に利用でき、購入した物は「部室」に配置できる。そこにお気に入りのウマ娘を入室させると、会話が発生したり、家具ごとに違ったリアクションが見られたりする。アイテムの種類も豊富でかなり集めごたえがあるのだが、システムで気になる点が少しある。 家具は設置する際に向きを変更できるのだが、決まった向きのグラフィックしかないためか、回転方向が限定されてしまっている。この仕様によってレイアウトにあまり幅が出ないので、後のアップデートで改善されると嬉しい。また、配置した家具を移動するとき1個ずつしか移動できないのも不便だと感じた。できれば指定した範囲内にある家具をまとめて動かせる機能がほしかったところだ。 ■病みつきレベルの中毒性「ゴルシちゃんの大冒険II」 「ゴルシちゃんの大冒険II」は部室に家具の「家庭用ゲーム機」を設置することで、メインメニューから遊べるようになる、ファミコン風の横スクロールアクションゲームだ。懐かしさのあるドット絵と8ビット風サウンドがノスタルジックだが、ゲームはしっかり奥深い。 内容は非常にシンプルで、自動で走るゴールドシップを操作し、敵と障害物を乗り越えてどこまで走れるかに挑戦する。タイムアップか体力がなくなるとゲームオーバーだ。敵への攻撃も自動で行われるため、プレイヤーが行うのは基本的に上下のライン移動とジャンプだけ。だが、ローグライクっぽいランダム性のある武器の強化システムや、ハクスラのような装備品集め、そして装備品についているスキルの構成を考えたりとかなり中毒性が高い。「ハチャメチャGP」の息抜き…どころかずっとこちらを遊んでしまいそうになる魅力を秘めていた。 ■総評 今回のレビューではSteam版を遊ばせてもらったが、筆者の環境ではロードやフレームレートに気になるところはほとんどなく、アクションの操作性も良好で気持ちよく楽しむことができた。発売前の試遊とあってだれかと一緒に遊ぶことは叶わなかったが、CPUと遊んでもちゃんと面白かったので、人と遊んだらもっと楽しいに違いない。ただ、「ストーリーモード」をチュートリアル的な感覚で遊ぶと、意外と操作方法やスキルの性能に関する説明が少ないので戸惑ってしまった。特に各ウマ娘のスキルは勝敗に関わる重要な要素なので、事前に「カスタム」メニュー内「スカウト」から自分が使うチームのウマ娘たちのスキル性能をチェックしておいたほうがスムーズに遊べると思う。 あとはなんと言ってもドット絵のウマ娘たちがかわいいことかわいいこと。イベントシーンでも競技中でも、豊富なアニメーションパターンとボイスには魅了されたし、この映像を見るだけでも十分に購入する価値がある。今後控えているDLCウマ娘たちの参戦も待ち遠しい。 「ウマ娘」としても、アクションゲームとしても楽しい『ハチャウマ』。カジュアルなパーティーゲームと侮るなかれ。一度触れば病みつきになる体験が待っている。 『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』は、Nintendo Switch/PS4/Steam向けに8月30日発売予定。