「本当にやる気のある選手は使っているはず」 名古屋グランパス、強くなるために指揮官が求めること
◇栄光と課題・グランパス紆余曲折の1年(下) 後半43分、FWユンカーのヘディング弾で1―2と詰め寄ったにもかかわらず、スコア以上の完敗が目の前にあった。8月17日の広島戦(豊田ス)は、試合内容に加え、もう1つ大きな差を見せつけられた一戦だった。 ◆ルヴァン杯優勝Tシャツを着て笑顔の長谷川監督【写真】 それは、育成年代をそのクラブで過ごしたことを示すホームグロウンの数。広島が18人中9人だったのに対し、グランパスは後半40分に投入されたMF倍井のただ1人。過去2季、日本代表まで駆け上がったDF藤井、クラブの公式戦最年少得点記録を更新したFW貴田と、下部組織出身、在籍選手が存在感を見せたが、今季は不発だった。 関学大出身ルーキー倍井がドリブルで可能性を見せ25試合に出場したものの、終盤はほとんどメンバー外。同期の立正大卒ルーキーFW榊原も良いプレーは見せたが、体調不良も重なり、定着できなかった。 清水時代のFW岡崎(元日本代表)をはじめ、各クラブで若手を抜てきしてきた長谷川監督。終盤は物足りなさを隠さなくなった。「(これまでも)本当にやる気のある選手は使っているはず」「やる気があって、下手っぴだけど俺は頑張るんだっていう、野心みたいのを感じられる選手がいるならば、いくらでもサポートしようと思うが、感じられるか?」。期待を裏切られたような口調だった。 最終戦の週は、若手にハッパを掛け、チャンスを与えた。選んだのは榊原。「名古屋だから出られないんじゃなくて、他のチームでもやっぱり厳しいよ、と分かってもらいたい」。広く若手への忠告を説いたが、言葉の先に倍井の姿があったのは明らかだった。 戦力補強があろうと、何度けがをしようと、必ず主力に戻るMF和泉はこう言う。「練習中は100%でやることもそうだし、1対1だろうがミニゲームだろうがゲームだろうが、負けないことは常に意識している」 指揮官は同じ日、こうも言った。「やっぱりアカデミー(下部組織)の選手が入ってこないと、本当の意味での強いチームにならない」。リーグ戦で11位に終わったのは、主力にけが人が出ると、替えがきかなかったからだった。外からの血と、下からの突き上げ。2010年以来2度目の優勝のために、来季は不可欠となる。(林修史)
中日スポーツ