進む“リニア沿線開発” 一方、ため池が干上がった場所も...工事影響か?【WBSクロス】
リニアの工事で水が...
一方、リニア沿線ではある問題も。岐阜・瑞浪市。のどかな風景が広がるこの場所で、水を巡る問題が発生しています。住民が案内してくれたのはため池です。 「緑と茶色の(草の)分け目ぐらいまで通常は水がある」(瑞浪市に35年住む60代女性) このため池、通称は水が張っていて、農業器具の洗浄などに使われていたといいますが、1カ月ほど前から水が干上がってしまったといいます。江戸時代から枯れたことがないと言い伝えられている井戸も水がなくなっていました。
原因と見られているのは、リニアのトンネル工事です。市の地下を横断する工事が進められる中、今年に入り、市内の14カ所で水位の低下が確認されたのです。 「問題が起きた以上は、今の状況から少しでも良くなるように最終的には元の状態に戻るような対策を(JR東海に)してほしい」(瑞浪市に70年住む男性) 水位の低下とリニアのトンネル工事の関連について、JR東海の丹羽俊介社長は16日の会見で「周辺でリニアの工事以外に地下水に影響するような工事が行われていないことから、(水位の低下は)本工事による影響の可能性が高い」と話しました。 JR東海は既にトンネル工事を中断。代わりの水源となる新たな井戸の設置工事に着手したほか、今後地質を調べるためのボーリング調査を行う方針です。
工事遅れ費用に影響は?
水位の低下を受け、岐阜県内で工事が中断、また、東京・北品川の工区ではシールドマシンのトラブルなどで調査のための掘削が4月まで中断していました。そもそも、静岡県内の工区は、まだ着工できておらず、2034年以降とされる開業時期には、やや不透明感も残ります。 こうした遅れは開発費用に影響しないのでしょうか? JR東海は2021年、複雑な工事への対応のため、品川ー名古屋間の総工費が従来から1.5兆円ほど増え、7兆400億円になるとの見通しを公表しました。 その後、人件費や資材費を含め、物価高騰の影響がないのか、改めてJR東海に聞いたところ「あらゆる観点からコストダウンを図り、それらを反映して去年12月に7兆400億円として、工事計画の変更の認可を受けた。そこからの変更はない」との回答がありました。 今後も難路が予想されますが、今回の静岡県知事選挙の結果、リニアの建設が進展する可能性が高まり、その沿線開発は、テック開発を中心として進むのは確実と言えるのかもしれません。 ※ワールドビジネスサテライト