進む“リニア沿線開発” 一方、ため池が干上がった場所も...工事影響か?【WBSクロス】
WBSクロス、今回のテーマはリニア沿線です。「早くても10年後」とされる開業を見据え、早速盛り上がりを見せる沿線がある一方、トンネル工事が中断している場所もあります。リニア建設と沿線開発の最新の状況を取材しました。 【動画】日米財界人 リニア試乗 米への売り込み後押し 神奈川・相模原市。JRなど3路線が乗り入れる橋本駅の目の前にある広大な土地。リニア中央新幹線「神奈川県駅(仮称)」の建設現場です。神奈川県駅は深さ約30メートルの位置に、全長約680メートルの駅が建設される予定です。現在はコンクリートで駅の基礎を固める作業が進んでいます。 リニアの品川ー名古屋間の開業は早くても10年後の2034年以降となる見通しです。駅周辺では開業を見据えた動きが活発になっています。 東急不動産などが8月から売り出すマンションのモデルルーム。神奈川県駅からは歩いて4分ほどと立地が売りの駅近物件です。29階建てで、総戸数は458戸。橋本駅周辺では16年ぶりに建設されるタワーマンションです。 気になる値段は「最上階の29階は2億円を超える部屋も用意をする予定」(「東急不動産」住宅事業ユニットの来住野浩亮グループリーダー)。 橋本エリアではこれまでにない高価格帯だと言いますが、それでもリニアの開業や再開発を見据え、価格の上昇に期待する“買い”が集まるとみています。 「(リニアの駅が建設される)品川と橋本では今後も積極的に事業機会を探りたい」(来住野グループリーダー)
盛り上がりは別の場所でも。大勢の関係者が集まっていたのは、山梨県内にあるリニアの実験線で5月に開かれた試乗会です。 「今、500キロを超えました。何の苦もなく立っていられます。揺れをあまり感じない」(豊島晋作キャスター) 磁石の力で浮上し、最高時速500キロで走るリニア。完成すれば東京ー大阪間を約1時間で結ぶ予定です。 リニアの中で豊島キャスターが発見したのは、半導体大手「エヌビディア」の大崎真孝日本代表。別の席にはチャットGPTで知られるオープンAI日本法人の長﨑忠雄社長の姿もありました。 「これが実用化すると都市間の移動がすごく簡単になる。非常に楽しみ」(オープンAIジャパンの長﨑社長) 巨大テック企業の幹部がなぜ試乗会に参加しているのでしょうか? 彼らを招待したのが自動運転技術の開発を手がける「ティアフォー」の加藤真平CEOです。 「オープンAIやエヌビディアのトップをなぜ招待?」(豊島キャスター) 「リニア沿線で新しい町づくりを考えると、AIは一丁目一番地。これからのパートナーシップの起点になるといいなと」(加藤CEO) リニア沿線の町づくりとは一体どういうことなのか。加藤CEOが向かった先は、リニア神奈川県駅のすぐ側にある「FUN+TECH LABO(ファンタステックラボ)」。大成建設やNECなど自動運転などの研究・開発を行う企業が共同で入居する施設です。 加藤CEOが会っていたのは入居企業のヤマハ発動機のエンジニア。一体何を話しているのでしょうか? 「自動運転があることを想定して町をつくる。未来も含めて一緒に進めると面白い」(「ヤマハ発動機」技術・研究本部の飯田実フェロー) ティアフォーとヤマハ発動機は既に工場などに向けた屋外自動搬送サービスを商用化しています。この技術を発展させ、駅を中心とした自動運転シャトルの実現を目指しているのです。巨大テック企業を試乗会に招いたのも、彼らを巻き込みたい思惑があります。 エヌビディアの大崎日本法代表は「エヌビディアの戦略は開発者のコミュニティーを作りサポートすること。(ファンタステックラボの)活動は非常に前向きにサポートしていく」と 動きを前向きに捉えているようです。 「リニアは新しい大動脈になる。町づくりをするには新しい契機が必要。リニアはその契機になる。最初から最先端のテクノロジーとデータありきの町づくりというのが大きなビジネスチャンス」(ティアフォーの加藤CEO