こんなに「大人が集まるディズニーランド」は日本だけ…子ども向けだった「雑貨」を日本人女性が夢中で買うワケ
ウォルト・ディズニー・ジャパンは映画作品だけでなく、キャラクターを使用したグッズの開発・販売も手がけている。2008年に同社に入社したKUREYON代表の中澤一雄さんは「私が担当したライセンス部門は当時、業績が下降していた。V字回復させるために3つの戦略を立てたが、そのうち日本人に特化した『おとなディズニー』がヒットした」という――。 【図表】ブランドのカスケードダウン ※本稿は、中澤一雄『ディズニーとマクドナルドに学んだ最強のマネジメント』(宝島社)の一部を再編集したものです。 ■ディズニー・ジャパンで実施した3つの秘策 私はディズニーストアで働いた後に退職し、日本KFCへ転職しましたが、そこが思いのほか日本的な経営をする企業だったことに疑問を感じ、ウォルト・ディズニー・ジャパンの社長に就任することになったポール・キャンドランドに誘われ、2008年に同社に入社することになりました。 2008年、私が戻った時のコンシューマープロダクツ部門(キャラクターの使用権をライセンシーに許諾し、商品を開発してもらうライセンス部門)は、業績が下降しているところでした。私の見たところでは、同社がやや日本的な経営のやり方に染まろうとしていたので、それを外資的な経営のやり方に戻さなければならないと大改革を行うことにしました。 それによって同社の業績を回復させることができたのですが、ここではその時に私が行った3つの施策、「V字回復のための3つの秘策」について一つひとつ紹介していきたいと思います。 このV字回復のための3つの秘策は、私がマクドナルド時代から数十年にわたる外資での経験からたどり着いたもので、現在、苦境に陥っている多くの日本企業においても通用すると確信しています。 業績不振に陥っていたウォルト・ディズニー・ジャパンを立て直すために私が実行したV字回復のための3つの秘策とは、以下の方法でした。 ---------- ① 新機軸(ホワイトスペース)を見つける(おとなディズニー) ② 完全成果主義をメインにした人事評価制度 ③ 勝ち組企業と組む ---------- ■新たなビジネスモデルの模索 第一の秘策、「新機軸(ホワイトスペース)を見つける」とはどういうことか。 皆さんは、ホワイトスペースという言葉をご存知でしょうか。ホワイトスペースとは、スーパーマーケットの棚を見た際、商品が売り切れている場合、棚の後ろに白い壁が見えることから来ています。ビジネス的には、新たなビジネスモデルでなければ成功することができない事業領域を指す言葉です。 もっとわかりやすく言えば、それまで自社が得意としてきた領域以外の領域で、既存のビジネスモデルによってはリーチできない顧客がいて、なおかつその領域には競合がおらず新たな顧客との接点を生みだしていくことができる領域、といったところでしょうか。 つまり、ウォルト・ディズニー・ジャパンがそれまでやっていなかったビジネスモデルによって、新たな顧客との接点を生みだすことのできる領域に進んでいくということです。私は、この会社にとってのホワイトスペースは何だろうかと考え、ある結論にたどり着きました。