代役で急きょF1デビューのベアマン、フェラーリ代表から「ヒーローになろうとするな」とアドバイス
フェラーリのリザーブドライバーを務めるオリバー・ベアマンは急きょF1デビューすることとなったが、チーム代表のフレデリック・バスールからは、「ヒーローになろうとするな」とアドバイスされたという。 【リザルト】F1第2戦サウジアラビアGP:予選結果 今年ベアマンはFIA F2選手権に参戦しながら、フェラーリのF1リザーブドライバーを務めている。そしてサウジアラビアGPでは、カルロス・サインツJr.が虫垂炎によりFP3以降を欠場することになり、その代役をベアマンが務めることになった。 これがF1デビュー戦となるベアマンは、併催されるF2予選でポールポジションを獲得していたが、F1に専念。60分間のFP3でマシンに慣れ、予選に臨むという難しいミッションに挑むことになった。 ベアマンは予選Q1を9番手で突破。Q2は11番手で敗退となったが、Q3進出まで0.036秒と印象的なパフォーマンスを見せた。 ベアマンは、バスール代表から落ち着いたアプローチを採るよう注意されていたという。 「フレッドはあまり多くを語らないんだ」 「でも彼が言うことは本心なんだ。彼は僕にはっきりと『 一歩一歩、積み上げていかなければならないんだ。ヒーローになろうとするな』と伝えた」 「特にFP3が良いセッションになった後、彼が設定する僕の目標は、とにかくこの調子で、一歩一歩積み上げていくことだった」 サインツJr.はグランプリ前日の段階から体調不良を訴えていたが、ベアマンは自分が必要とされる状況になるとは全く考えていなかったという。 万が一に備えてスタンバイしていたかとmotorsport.comが聞くと、彼は「正直なところノーだ」と答えた。 「今朝は良い感じで目覚め、10番手からスタートするF2(リバースグリッドのスプリントレース)の準備も万端だった」 「FP3の数時間前、かなり直前になって『(F1を)走ることになった』という連絡を受けたんだ。もちろんこれは、僕が望んでいたようなデビューの状況ではないし、カルロスの回復を祈っている。それでも素晴らしいチャンスだ」 フェラーリでF1デビューを果たすドライバーは1972年のアルトゥーロ・メルツァリオ以来となるが、これについてベアマンは次のように語った。 「星が一直線に並んだ(絶好の時が来た)んだ。2年前、3年前、そして今シーズンもそうだった」 「数年前はまだF4にいた。初めてF1のテストをしたのは3、4ヵ月前だったんだ。本当にステップアップが速かった。赤いマシンでF1デビューを飾れたことが、これから起こることを予感させるものであるのを願っている」 ベアマンはF1デビューの前触れがなかったことがむしろ有利に働いたと考えている。 「正直なところ、緊張したり考えすぎたりする時間はなかった」 「初日に(走れず)出遅れたことで、その遅れを取り戻すことに集中しなければならなかった。初日に走れなかったことで、僕の状況は少し厄介になった。だからエンジニアたちと一緒に、すべてを把握し、できるだけ早くスピードに乗ろうと必死だった」 「状況の深刻さについて考える時間はなかった。それがよかったのかもしれない」 ベアマンはQ2終盤のアタックでミスをしたことで、Q3に進めなかったフラストレーションがあると認めた。 「主な敗因は、2周目にアタックをしたことだと思う。僕の最初のラップは、セクター3でミスがあって、そこで大きくタイムをロスしてしまった。2周目はタイヤがベストな状態じゃなかったんだ。それが僕のミスだ」 「2周目はまずまずだった。ギャップがかなり僅差で、あちこちでちょっとずつタイムロスしているのが分かるけど、そういうものなんだ。本当に僅差だった」 レースに向けては、忍耐強く戦うつもりかと尋ねると、彼は「その通り。それが僕の目標だ」と答えた。 「ミスをせず、それを積み上げていく。最後まで走りきって、大混乱を避け、経験を積む。そしてできれば、最後にポイントを持ち帰りたい」 「フィジカル面ではF2からの大きなステップだ。でも、F1デビューの準備は常にしてきたつもりだ。だから、うまくいって、いい仕事ができればいいね」 ベアマンはF2ジェッダ戦の2レース欠場することになるが、これでF2のタイトル争いが危うくなることは懸念していないという。 「F2のゴールはF1に行くことだからね。そうだろ?」 「このチャンスを逃すわけにはいかない。F1でいい週末を過ごせれば、F2で優勝したりポールポジションを獲得したりするよりも、もっと多くのことがわかると思うんだ」 「F2では半分仕事をした。ポールポジションを取ったんだ。(F1では)ポイントを持ち帰って、自分の実力を示すことができればいいね」
Adam Cooper