中国の金融政策が14年ぶり「適度な緩和」に転換 中国の金融政策が14年ぶり「適度な緩和」に転換
中国の金融政策の基調が14年ぶりに変更された。12月9日に開催された中国共産党中央政治局会議で、2025年の財政金融政策について「安定を保ちながら前進を図り、より積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を実施する」ことを決定した。 【写真】金融フォーラムで基調講演する中国人民銀行の潘功勝総裁 上述の文言は、金融政策の基調が従来の「穏健」から「適度な緩和」に転じたことを意味する。中国では2011年から14年にわたって「穏健」な金融政策基調が維持され、「適度な緩和」が最後に実施されたのは(リーマンショックに端を発する)世界金融危機の直後の2009年から2010年にかけてだった。
■緩和方向への微調整が先行 中国の金融政策基調は、一般的に「引き締め」「適度な引き締め」「穏健」「適度な緩和」「緩和」の5段階に区分される。政策当局は客観的な情勢変化に応じて、「穏健」を中立とした柔軟な調整を行うことになっている。 また、基調は「穏健」のままでも、実際には一定程度の緩和または引き締めの方向に調整されるケースもある。 例えば、中国人民銀行(中央銀行)が11月8日に発表した2024年7~9月期の金融政策実施報告には、「支持的な金融政策のスタンスを堅持する」という文言が使われた。これは前回(4~6月期)の報告まで使われた「穏健な金融政策」と表現が異なり、政策の微調整が図られたことを示唆する。
「2024年に入って以降、中央銀行は『支持的な金融政策』の堅持を繰り返し表明してきた。実際の(金融政策の)運用を見ると、名目上は『穏健』のままでも実質的には『適度な緩和』になっている」 7~9月期の金融政策実施報告について、この分野の権威ある専門家はそう解説していた。 今回、金融政策の基調が(微調整ではなく)正式に変更された背景には、経済の先行きに対する中国社会の期待が弱含んでいることや、企業経営者が自信不足に陥っていることへの危機感がある。