今週末に見たい展覧会ベスト7。東博のカルティエ展から神奈川県立近代美術館の保存修復まで
もうすぐ閉幕 「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」(東京国立博物館) メゾン カルティエとカルティエ現代美術財団。こな2つの歴史を単一の展覧会で紹介する初めての展覧会「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展― 美と芸術をめぐる対話」が、東京国立博物館の表慶館で7月28日まで開催中だ。レポートはこちら。 本展は、左右対称の構造をなす表慶館を舞台に、カルティエと日本、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆を紐解くもの。カルティエの日本からの影響がうかがえる貴重なピースの数々とともに、 森山大道、杉本博司、宮島達男らカルティエ現代美術財団と仕事をしてきたアーティストの作品も並ぶ貴重な機会だ。 会期:2024年6月12日~7月28日 会場:東京国立博物館 表慶館 住所:東京都台東区上野公園13-9 電話番号:0120-1847-00(カルティエ カスタマー サービスセンター) 開館時間:9:30~17:00(金土~19:00) ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(7月15日は開館)、7月16日 料金:一般 1500円 / 大学生 1200円 / 高校生以下無料 「石川九楊大全」(上野の森美術館) 上野の森美術館の「石川九楊大全」が7月28日に閉幕する。石川九楊インタビューはこちら。 京都大学法学部を卒業し、京都精華大学教授、文字文明研究所所長を経て、現在は京都精華大学名誉教授の石川九楊。「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かし、書の構造と歴史を読み解くとともに評論家としても活躍し、日本語論、日本文化論は各界にも大きな影響を与えている。現在までに書作品2000点、著書100点以上を世に送り出した。本展は、現代における書の美を追究し、言葉と格闘し続けてきた石川九楊の書作品2000点から厳選した300点余を、前期【古典篇】遠くまで行くんだ/後期【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだの前後期で作品をすべて掛け替える大規模連続展覧会。 【古典篇】遠くまで行くんだ 会期:2024年6月8日~30日 【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ 会期:2024年7月3日~28日 ※前篇と後篇では全作品展示替え 会場:上野の森美術館 住所:東京都台東区上野公園1-2 開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで 休館日:7月1日、2日は展示替えのため休館 料金:一般・大学生・高校生 2000円 / 中学生以下無料 / 障害者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料 (要証明)※前篇と後篇では各々チケットが必要 「国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」(太田記念美術館) 多彩なジャンルで活躍し、現代人にも人気の浮世絵師・歌川国芳(1797~1861)。その団扇絵だけを紹介する史上初の展覧会「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」が、東京・神宮前の 太田記念美術館で28日まで開催されている。レポートはこちら。 団扇は江戸っ子にとって夏の暑さをしのぐための必需品であると同時にデザインを楽しむファッションアイテムでもあり、歌舞伎ファンにとっては推しの役者を応援する「推し活」グッズでもあった。この団扇をつくるための浮世絵=団扇絵も人気が高く、国芳の団扇絵は確認できるだけでも600点を超えるという。通常、団扇絵は消耗品であることから現存数は少ないが、本展には保存状態が良い優品(すべて個人蔵)が揃っており、初展示作品も会期を通して約100点が並ぶ。非常に稀な機会と言える。 会期:[前期]2024年6月1日~6月25日、[後期]6月29日~7月28日 会場:太田記念美術館 住所:東京都渋谷区神宮前 1-10-10 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:6月3日、6月10日、6月17日、6月24日、6月26~28日、7月1日、7月8日、7月16日、7月22日 料金:一般 1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生(15歳)以下 無料 「metaPhorest Biome 生物学実験室におけるアートの生態系」(WHITE HOUSE) WHITE HOUSEで「metaPhorest Biome 生物学実験室におけるアートの生態系」が7月28日まで開催されている。 本展の主体である metaPhorest は、生命科学や生命論の展開を参照しつつ、「生命」を巡る美学・芸術の実験、研究、制作を行うための生命美学プラットフォーム。2013年以来のグループ展となる今回は、metaPhorest でなされてきた「生命」への探求の成果を、作中に登場する生物種や、制作者であるアーティスト・研究者を含む生態系としての「Biome(生物群集)」として提示する。それは、冒頭に紹介した近年の「生命概念の揺らぎの問題」と響きあうものとなっている。参加作家は、 AKI INOMATA、Anais-karenin、BCL / Georg Tremmel、Henry Tan、飯沢未央、石橋友也、岩崎秀雄、植村和俊、切江志龍、齋藤帆奈、杉浦真也、藤岡慧、松村寛季。 会期:2024年7月6日~7月28日 会場:WHITE HOUSE 住所:東京都新宿区百人町1-1-8 開館時間:金 16:00~20:00、土日 14:00~20:00 休館日:月火水木 料金:500円 「鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館) 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で、企画展「てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復」が7月28日まで開催中だ。レポートはこちら 。キュレーター・橋口由依によるテキストはこちら。 本展は鎌倉別館の40周年を記念したコレクション展であるが、美術館活動が継続してこられた理由のひとつに「保存修復」があるという視点から企画されたもの。会場では、保存修復の視点における3つのキーワード「てあて」「まもり」「のこす」をもとにコレクション作品がキュレーションされている。 会期:2024年5月18日~7月28日 会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館 住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1 電話番号:0467-22-5000 開館時間:9:30~17:00 ※入場は16:30まで 休館日:月(ただし7月15日は開館) 料金:一般 700円 / 20歳未満・学生 550円 / 65歳以上 350円 / 高校生 100円 今週開幕 「空間と作品」(アーティゾン美術館) 東京・京橋のアーティゾン美術館で「空間と作品」展が27日より開催される。 美術館の展示室に整然とならぶ、誰もが鑑賞できる美術品は、邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るためにえがかれたりと、所有者との関係により生み出されてきた。本展では、 モネ、セザンヌ、藤田嗣治 、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品からなる石橋財団コレクション約130点を紹介し、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか、その時々の場を想像・体験しつつ、空間と作品の関係に迫る。 会期:2024年7月27日~10月14日 会場:アーティゾン美術館 住所:東京都中央区京橋1-7-2 開館時間:10:00~18:00(金~20:00)※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(8月12日、9月16日、9月23日、10月14日は開館)、8月13日、9月17日、9月24日 料金:ウェブ予約チケット 1200円 / 窓口販売チケット 1500円 / 学生無料(要ウェブ予約)※予約枠に空きがあれば美術館窓口でもチケット購入可能。中学生以下はウェブ予約不要 苅部太郎「あの海に見える岩に、弓を射よ / Aim an Arrow at the Rock in the Ocean」(マイナビアートスクエア) 株式会社マイナビが運営するアートスペース「マイナビアートスクエア」では7月26日より、アーティスト/写真家の苅部太郎による個展「あの海に見える岩に、弓を射よ / Aim an Arrow at the Rock in the Ocean」を開催する。 苅部太郎は、今日の社会における複雑な様相を、メディア技術や知覚システムの根源に立ち戻り、人類学や哲学など知の領域から「人がものを見る経験」を再認識するコンセプチュアルな作風を特徴としている。活動開始から一貫して写真メディアを使用し、初期は被災地・紛争国などでのフォトジャーナリズムや、人形やロボットなどの人工物と人間関係を結ぶ人々をとらえるドキュメンタリーの手法を用いた。近年はテクノロジーと人間が相互作用しながら形成するホロスの主観的視覚世界の視覚化など、角度を変えながら手法を考察している。本展では、苅部が 2022 年から続けるプロジェクト「あの海に見える岩に、弓を射よ」に新作を交えて発表する。 会期:2024年7月26日~8月31日 会場:マイナビアートスクエア 住所:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー22F 開館時間:11:00~18:00 休館日:日月祝 料金:無料