今年の10大リスク、最大は「Gゼロ」の進行…「世界の分裂は深まる」
【ニューヨーク=山本貴徳】国際情勢のリスク分析を手がける米調査会社「ユーラシア・グループ」は6日、今年の「10大リスク」をまとめた報告書を公表した。最大のリスクに挙げたのは、国際秩序を主導する国家がない「Gゼロ」の進行で、「世界の分裂は深まり、危機に陥りやすくなる」と指摘した。 【写真】イアン・ブレマー氏
報告書は、米国は世界のリーダーになることを望んでおらず、中国も国内の課題に専念せざるを得ないと分析した。地政学的な不安定さが常態化することで、「力の空白が新たに生まれて拡大し、ならず者国家が勢いづく。新たな世界大戦のリスクは高まっている」と警鐘を鳴らした。
2番目のリスクには、米国のトランプ次期政権を挙げた。トランプ氏が反対意見を威嚇などで封じ込め、自分に近い企業家らを優遇すれば「法の支配が弱体化する」と訴えた。3番目は米中の対立激化で、米国が中国製品に高関税を課すなどした場合、経済の混乱と危機のリスクが世界に広がる可能性に言及した。
ユーラシア・グループは国際政治学者のイアン・ブレマー氏が社長を務め、地政学的リスクの分析に定評がある。