中村勘九郎、七之助が来年の「猿若祭」へ意気込み 勘九郎は息子2人の成長語る
歌舞伎俳優の中村勘九郎(43)、中村七之助(41)が12日、都内で来年2月2日に歌舞伎座で初日を迎える「猿若祭二月大歌舞伎」(25日まで)の取材会を行った。 昼の部で上演される「きらら浮世伝」は江戸時代の出版王・蔦屋重三郎を中心とした青春群像劇。父の十八代目中村勘三郎さんが1988年に銀座セゾン劇場で演じたものを新作歌舞伎としてよみがえらせた。勘九郎が蔦屋重三郎を、七之助が遊女お篠を演じる。 88年3月当時、勘九郎は6歳。舞台自体の記憶はないが、楽屋で遊んでいた記憶はあるという。「楽屋の異様さ、熱。みんながギラギラしていて、それに僕もテンションが乗せられて、楽屋をちょろちょろしていたんだと思います」と当時を振り返った。作品の印象については「みんな、爆発という感じ。アングラではないが小劇場のパワーと歌舞伎の持つパワーが凄く融合された作品になっていた」と分析した。 今年は父勘三郎さんの十三回忌追善興行を完走した1年でもあった。七之助は「2月の歌舞伎座を皮切りに、芝居小屋をめぐったり、8月も2人で髪結新三で初役ができた。最後は硫黄島に行き、俊寛僧都が流れた本当の場所で、うちの兄が初役で俊寛を演じることができた。いろいろな努力が実を結んだ1年だった。父も上で喜んでいるだろうなという1年だった」と今年を振り返った。 一方勘九郎は「私たちの肉体を通して、父の魂を感じてもらえた1年になったと思います。追善と銘打たない月も何か父や中村屋ゆかりの演目が並んだ年だった。本当に良い経験をさせてもらった。リスタートの年になった」と振り返った。息子の2人の成長にも言及。長男勘太郎(13)については「一番成長を感じたのは今年2月の猿若祭です。勘太郎が猿若を演じましたが、この役は父も僕も簡単そうにやっているが、本当に難しい。最初は手も足も出なかった状況からあそこまで踊り込んで、作品を最後まで勤め上げたことは誇らしかった」と語った。 次男の長三郎(11)についても「彼は一時期“もう終わりにしたい”という迷言や“明日で廃業宣言”をしたりして、大丈夫かなと思っていたのですが、勘太郎が連獅子を踊ったあたりから、俺もいくという気持ちが乗ってきて、連獅子でぶつかってきて、とても楽しかった。舞台に立つこと、お客さまに楽しんでもらうことを楽しみながらやっている姿は大きな成長」と目を細めた。 七之助も「勘太郎は硫黄島で丹波少将成経をやる年齢になった。僕の年齢ではありますが、あと3年後には浅草公会堂の初舞台を踏むような年になり、びっくりしている。長三郎もいろいろな役ができるようになる。中村屋としても、いろいろなバリエーションがあって、未来は明るい」とおいたちの成長に期待を寄せた。