関東甲信の梅雨入りは少し遅め、梅雨明けは平年並み予想で早くも夏が待ち遠しい…でも、そもそも「梅雨」って?
なかなか乾かない洗濯物、湿度が高くジメッとした室内……。「梅雨」になると部屋だけでなく心までジメジメとした気持ちになりがちという人も多いだろう。今年の梅雨入りは平年よりやや遅く、関東甲信地方では6月中旬と予想されている。梅雨明けは平年並みになるそうだ。今から梅雨明けが待ち遠しいが、そもそも「梅雨」ってなんだ? 【図】各地の平年の梅雨入り・梅雨明けの時期は? (杉原健治:フリーライター) ■ 今年の梅雨入りは? 昨年の関東は6月8日 日中汗ばむほどの暖かさになる日が増え、夏の兆しを感じるこの時期。誰もが気になってくるのが梅雨入り、梅雨明けの時期だろう。関東地方では5月最終週から雨の予報が増えており、いよいよ梅雨入りが近づいていることを実感する。 「梅雨入り」「梅雨明け」は気象庁が毎年発表しているもので、昨年の梅雨入りは沖縄が5月18日ごろ、関東甲信が6月8日ごろだった。平年の梅雨入りは関東甲信で6月7日ごろ、梅雨明けは7月19日ごろとなっている。 今年の梅雨入りは平年よりやや遅く、梅雨明けは平年並みと予想されている。 ちなみに、ニュースなどで言われる梅雨入りや梅雨明けの発表はあくまで「速報値」だ。それまでの天気の移り変わりと、1週間先までの天気予測を基に出されている。「確定値」は後日、梅雨の季節が過ぎてから、春から夏までの天候経過に基づいて発表される。 速報値と確定値が1カ月ほどズレることもある。例えば2022年の関東甲信地方では速報値で梅雨入りが6月8日、梅雨明けが6月27日と発表された。観測史上最も短い梅雨と話題になったが、9月に発表された確定値で梅雨明けは7月23日に修正された。 ちなみにこの年の北陸、東北南部、東北北部の梅雨明けはいずれも「特定できない」と発表された。
■ 「梅雨」があるのは東アジアだけ 梅雨は日本を含む東アジアにしかない現象だ。南から北上してくる温かく湿った空気の太平洋高気圧と、北にある冷たい空気のオホーツク海高気圧がぶつかり、湿った空気が冷やされて雨を降らせる東西に長く延びる境界ができる。 これが梅雨前線と呼ばれ1カ月ほど停滞し、太平洋高気圧が北へ北へと勢力を増すと梅雨前線が押し上げられ、日本列島で南から北へ徐々に梅雨が明けていく。北海道には梅雨前線に伴う梅雨はない。 日本だけではなく中国や韓国にも影響を及ぼす。中国では「梅雨(メイユー)」、韓国では「長霖(チャンマ)」と呼ばれ、いずれも6~7月の雨の多い時期のことを指している。 他方、世界では同じように長期間にわたって雨を降らせる季節がある地域もある。一般的に、1年で最も雨が多く降る時期は「雨季(雨期)」と呼ばれ、広い意味では梅雨も雨季の一種といえる。 世界の多くの国では気温の変化によって季節が定義されているが、一年を通じて気温の変化が少ない赤道付近の熱帯諸国では雨の多さによって季節が定義され、それが雨季・乾季にあたる。 日本は変化に富む美しい四季がある上に、雨が多い梅雨まである。梅雨と聞くとつい嫌なイメージを持ってしまいがちだが、カラ梅雨になれば稲が育たず美味い米は作れないし水不足になってしまう。恵みの雨と思って、からりと晴れる夏本番までしばらくの辛抱だ。
杉原 健治