資生堂、中国・免税店の基盤再構築優先 26年にROIC5%
Ritsuko Shimizu [東京 29日 ロイター] - 資生堂は29日、苦戦している中国・トラベルリテール(免税店)の事業基盤再構築などを盛り込んだ「アクションプラン 2025─2026」を発表した。2024―26年は年平均売上成長率3%(23―24年は1%減)を見込んでいるが、中国・トラベルリテールは減少、日本や欧米、アジアパシフィックは市場を上回る伸長を見込んでおり、中国・トラベルリテールに偏重した収益構造から脱することを目指す。 26年のコア営業利益率は7%(24年は3.5%)、投下資本利益率(ROIC)は5%(同0.4%)、自己資本利益率(ROE)は7%(同1%)を目指す。 藤原憲太郎社長は会見で「この2年でレジリエントな構造基盤を作っていく」と述べた。また、廣藤綾子最高財務責任者(CFO)は「この2年でやるべきことをきっちりとやることがその後の土台を強くすると確信している。中長期的な企業価値向上に向けて、この2年を正念場と捉えて取り組む」とした。 24年に200億円、25年に200億円超と2年間で計400億円超のコスト構造改革を実行する。26年には固定費を中心とした250億円のコスト削減を実施し、損益分岐点の引き下げを図る。現時点でグローバルな人員削減の計画はないという。 ブランドに対しては2年間で300億円のマーケティング投資を行う。コア3つ、ネクスト5つに集中投資し、収益性・成長性を見ながら、戦略的な撤退・縮小も検討する。また、ROIC改善に向けて、保有資産の適切な見直しも継続して進めていくほか、設備投資も厳選して実施していく。 中国市場について、藤原社長は、消費意欲の低調さや高い不透明感は継続するとし「この2年は楽観視せず、慎重な見方をしている」と述べた。ただ、「これまでのような高成長はないものの、中長期的に見れば巨大な市場」との見方を示し、持続的な成長・利益拡大に向けて転換を図るとした。 中国にはブランドサテライトオフィスを設置し、変化する市場に素早く対応できる体制を取った。また、資生堂が強みとしている化粧品や乳液はローカルブランドや競合ブランドに対して優位性を取れなくなっており、クリームなど高付加価値を感じられるブランドで強みを作るべく投資を行っていく。 同社は11月、2024年12月期の連結業績予想(国際会計基準)を下方修正し、純利益を従来の220億円から前年比72.4%減の60億円に引き下げた。節約志向が高まる中国で販売が低迷、アジアで中国人旅行者の消費が落ち込んでいることが響いた。