蓮池透さんが会見「拉致問題の解決とは何かを定義すべき」
拉致被害者家族の蓮池透さんが21日、東京の外国特派員協会で会見し、膠着状態が続く拉致問題について、「安倍さんの今のやり方ではうまくいかない」と語り、「拉致問題の解決とはどういうことか」の定義をすることが必要だと述べた。また、圧力をかけるだけではなく、北朝鮮と「ギブ・アンド・テイク」の関係で解決していくべきだと語った。 【中継録画】拉致被害者家族の蓮池透さんが会見
北朝鮮と「ギブアンドテイク」で
蓮池さんは「拉致問題は北朝鮮に大きな問題があるのは明らかだが、日本側の対応で間違っているところはないのか」と言う。 拉致問題をめぐっては、2002年に5人の被害者が帰国して以来進展はなく、1年半前に北朝鮮側が再調査を約束したが調査結果は公表されないままになっている。「安倍さんの今のやり方ではうまくいかない」と蓮池さんは語る。 帰国した5人のうちの一人の蓮池薫さんの兄である蓮池さんは、安倍政権は「あらゆる手段を尽くす」とは言うものの、実際にやったことは北朝鮮への経済制裁と、拉致問題対策本部、担当大臣の設置だけだと指摘。対応は「情緒的で具体的な戦略が全く見えてこない」という。 蓮池さんは、どのような状況であれば拉致問題の解決といえるのかの「定義づけ」をするべきだと強調する。現在は、拉致被害者の全員が帰ってこれば解決なのか、安否確認がされれば解決なのか、定義が曖昧な状況だといい、拉致問題がなかなか解決に向かわないのは、こうした日本と北朝鮮側の「ゴールが一致していない」からだという。 さらに「拉致問題と日本の過去の植民地支配の問題は一見関係ないように思えるが、切っても切り離せない問題」だと指摘。過去の清算を行なうことが必要だとした。北朝鮮にとっては「5人を帰したら日本から返って来たのが経済制裁だった。これは彼らにとって大きなトラウマとなっている」と語り、過去の精算をテコに「ギブ・アンド・テイク」で解決を目指すべきとの考えを示した。