更年期と夫婦の関係性とは?「辛い今、の先にあるもの」【小島慶子さん×高尾美穂先生】|STORY
◇ 何度話しても平行線だった夫婦関係が、動き出したあるきっかけとは……?
小島さん そしてその6年の間にコロナ禍も。家族はオーストラリア、私は日本。初期は自分も死ぬかもしれないと恐れおののきましたし、もし誰かが罹患し命を落としてもお別れすら言えない状況。そこで初めて、やはり夫とは人生の良いことも悪いことも含めて共有しているものが大きく、彼を失うことは大きな喪失だと気づいたのです。 高尾先生 年の近い知り合いが余命2カ月と言われ本当に亡くなったばかりで……。毎日生きているといろんな悩みがあるけれど、それ以来、命がもしあと2カ月しかないのなら、もっと大事なことがあるでしょう? って答えが出るようになりました。小島さんがおっしゃる通り、コロナで死ぬかもしれないと命の終わりを考えた時に、では何を大事にしたいかが見えてきた。そこなんでしょうね。 小島さん もし感染して死ぬとしたら、私の人生で一番尊かったものはなんだろう? って。それは子どもたちで、記憶を分かち合えるのも、彼らを同じくらい大事に思っているのも世界に夫一人しかいない。それが大きかった。同時に彼も変わったんです。それまでは、私がどんなに彼に意見を求めても、考えずに逃げたり平謝りだったのが、ある時から、問題に向き合い言葉を返すように。 高尾先生 それまではきっと、小島さんから投げかけられたことに対して何も答えが生まれてこないから、出せなかったのかもしれない。言語化のトレーニングもされていないし、そんなこと聞かれたことないしって感じだったのかも。 小島さん 彼自身、本心を言葉にすることを封じられてきた環境だったかも? とも思います。完全なる男社会で生きてきた人だから。絶対に変わらないだろうと思っていた人が、学んで変わるって、すごいなと。時間が解決って、先生おっしゃっていたけれど、彼にもその時間が必要だったのかと理解しました。 高尾先生 嬉しかったんですね。小島さん、以前お会いした時より、だいぶ浮上してる!