60歳代・単身世帯の平均貯蓄額と中央値は?平均年金月額や就業状況から現代シニアのリアルを見る
「働いている60歳代」の割合は?
ここからは、厚生労働省の「高齢者雇用対策の概要」をもとに、2023年時点で「60歳代で働いている人」の割合を見ていきましょう。 ●働いている方の割合|60歳代・70歳以上 60歳代前半と後半で、働いている人の割合はだいぶ変わってきますね。 「働いている60歳代」の割合 ・60~64歳:74.0% ・65~69歳:52.0% 60~64歳では、全体の74.0%が働いているという結果に。しかし、一般的な年金受給開始年齢である65歳以降になると、この割合は52.0%にまで下がります。70歳以上ではさらに下がり18.4%となっていますね。 還暦以降も働き続ける理由は人それぞれ。また、完全リタイアのタイミングにも個人差があります。とはいえ、シニアの就労には、ときに自分自身の健康問題や、家族の介護といった致し方ない事情が発生するケースも多いでしょう。 「経済的な不安があって働き続けたくても、それが叶わない」そんな問題は、年齢を重ねるにつれ増えていくことは確かであると言えそうですね。 次では、60歳代後半で経済的な不安を感じている人はどの程度いるかを見ていきましょう。
経済的な不安を感じている60歳代の割合は?
内閣府の「令和6年版 高齢社会白書」から、65歳~69歳の「経済的な不安」に関する意識を見てみましょう。 回答割合を見ると「家計が苦しく、非常に心配である」「家計にゆとりがなく、多少心配である」の合計は34.3%。「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」は50.8%となりました。 一方で「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と答えた人はわずか14.5%。 貯蓄や公的年金だけでゆとりある生活を送ることは、多くの方にとって難しい傾向にあることがわかります。今のうちから少しずつでも、将来に向けた資金を準備していけるとよいですね。
まとめにかえて
日本では、出生率の低下と平均寿命の延びにより、超高齢化が進んでいます。 この影響で、年金制度を支える現役世代が減少し、将来的に年金の受給額がさらに少なくなる可能性が指摘されています。公的年金だけで老後の生活費を賄うのが難しくなる方が増えると考えられています。 さらに、超高齢化社会によって、労働力不足や医療・介護費用の増加など、さまざまな課題が深刻化しています。 こうした背景から、老後の生活に不安を感じる方や、老後資金が十分でないと感じる方は、預貯金だけでなく資産運用も検討するのが良いかもしれません。銀行に預けておくだけでは減ることはないものの、資産を増やす効果はあまり期待できません。 ただし、資産運用には元本割れのリスクがあるため、自分に合った方法や始め方を正しく理解することが重要です。リスクを理解することで、効率的に資産形成ができる可能性も高まります。 この機会に、無理のない範囲で資産運用を取り入れてみることを、ひとつの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」 ・厚生労働省「高齢者雇用対策の概要」 ・内閣府「令和6年度版 高齢社会白書」 ・金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
野平 大樹