電動ならもっと贅沢? 更新版メルセデス・ベンツEQVへ試乗 モデルチェンジは2026年に
ワンボックスならVW ID.バズも魅力的
回生ブレーキは、ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブにも対応。まったく効かせず、長い距離を惰性走行させることもできる。MTに慣れた人でも、運転体験に違和感は感じにくいと思う。 試乗車にはエアサスペンションが装備されていたが、スポーツ・モードを選択しても、乗り心地は至って快適だった。このモードを選ぶと、アクセルレスポンスが鋭くなり、市街地の交通を縫いやすくなるようだ。 フェイスリフト後でも、駆動用バッテリーの容量に変わりはない。だが、マネージメントが改善し、航続距離は若干長い365kmがうたわれる。急速充電能力は、最大110kWとなる。 英国価格は、テスラ・モデルXよりお手頃。6シーター以上のバッテリーEVで、快適性や実用性を重視するなら、EQVは非常に魅力的な選択肢だと思う。 他方、ワンボックスで比べるなら、フォルクスワーゲンID.バズも魅力的。プレミアムというより、ポップでチャーミングな印象だが、ファミリーユーザーにとっては訴求力は高いはず。こちらの航続距離は415kmと長く、急速充電能力も170kWへ対応する。 ただし、ID.バズは5シーター。そのかわり、商用車をベースとしないため、運転のしやすさや乗り心地では上回る。英国価格も大幅に低い。
訴求力は高い でも2026年にモデルチェンジ予定
さらにメルセデス・ベンツは、2026年にまったく新しいVAN.EAというプラットフォームをリリース予定。EQVとeヴィート、eスプリンターが、生まれ変わることになる。 駆動用モーターとトランスミッションを標準化させたフロントアクスルを備え、駆動用バッテリーの容量も複数が設定されるという。航続距離は、482kmを超えるとか。2030年までには、レベル3の自律運転にも対応する見込みだ。 現状では、多くの人を同時に運ぶという目的で、最適な電動ワンボックスといえるEQV。だが、2年後に発表されるであろう、次世代を待つという選択も悪くない。もちろん、もっと早く必要なら、すぐに商談を進めるのも悪くないだろう。 ◯:非常に静かで滑らかな走り 完成度の高い操縦系 Vクラスと変わらない豪華な雰囲気 △:高めの価格 もの足りない急速充電能力と航続距離
メルセデス・ベンツEQV(欧州仕様)のスペック
英国価格:約9万ポンド(約1701万円) 全長:5140mm 全幅:1928mm 全高:1901mm 最高速度:140km/h 0-100km/h加速:12.0秒(予想) 航続距離:344-365km 電費:3.5-3.7km/kWh CO2排出量:- 車両重量:2736kg パワートレイン:永久磁石同期モーター バッテリー:80.0kWh 急速充電能力:110kW 最高出力:203ps 最大トルク:40.8kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
リチャード・レーン(執筆) 中嶋健治(翻訳)