患者らから暴力・暴言「ペイシェントハラスメント」が深刻化…医療現場で指針作り広がる
福岡市医師会は23年9月、警察OBをアドバイザーに迎え、医療機関向けの相談窓口を開設した。寄せられたペイハラ被害の相談は164件(昨年11月末時点)に上る。発熱外来を訪れた患者がマスク着用を拒んだ際、「迷わず『お引き取り願います』と伝えて」「110番を考えてもいい」と伝え、トラブルを防いだこともあったという。
新潟県は昨年5月、患者のハラスメントへの対応をまとめた「ペイハラ対策指針」を策定した。▽複数人で説得し、110番する▽録音・録画を残し、警告を行う――などで、11の県立病院に通知した。
医療機関のペイハラ対策に詳しい福崎博孝弁護士(長崎県弁護士会)は「トラブルを防ぐには、医療者側と患者側が互いを尊重する意識が必要だ」とした上で、「患者からの理不尽な要求には、医療機関は組織的に対応する必要がある。悪質なケースについては、警察と連携して対応すべきだ」と話している。