3回戦も6-0!神村学園が青森山田の得点記録を上回るペースの3戦21得点、無失点で準々決勝進出!
[7.30 総体3回戦 神村学園高 6-0 仙台育英高 JヴィレッジP2] 3試合で計21得点、無失点。神村学園が1大会の得点記録を更新するペースで勝ち進んでいる。30日、令和6年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技(福島)3回戦が行われ、神村学園高(鹿児島)と仙台育英高(宮城)が対戦。神村学園が前半だけで5得点を挙げるなど、6-0で快勝した。 神村学園は、2021年大会以来となる準々決勝進出。同大会で青森山田高(青森)が記録した30得点が、1大会の最多得点記録となっている。当時、青森山田の3回戦終了時点での得点数は19で、今大会の神村学園はそれ上回るペースだ。インパクトのある得点数に加え、3試合全て無失点。有村圭一郎監督はその守りについても評価していた。 「点数取れてるのもそうですけど、ディフェンスがしっかり粘り強くやって、ゼロで抑えてるっていうのは非常にいいことだなと思うので、切り替えの部分と最後やらせない部分とか、そういうのをもう一度ミーティングで落として、明日からも臨みたいと思います」と語った。 神村学園は期待の2年生FW日高元(U-17日本高校選抜候補)が怪我で欠場中。GK江田優大(2年)、DF黒木涼我(3年)、新垣陽盛(3年、U-17日本高校選抜)、中野陽斗(2年)、MF鈴木悠仁(3年、U-17日本高校選抜)、吉田唯竜(3年)、大成健人(3年、U-17日本高校選抜候補)、松下永遠(3年)、FW徳村楓大(2年)、金城蓮央(3年、23年U-17日本高校選抜)、ゲーム主将の名和田我空(3年、日本高校選抜、U-19日本代表)の11人が先発としてピッチに立った。 一方の仙台育英は、1、2回戦ともに1-0で勝利。インターハイでの2勝は2014年大会以来だ。1978年大会以来の8強入りをかけた3回戦の先発は、GK小川陽海(2年)、DF渡邊留唯主将(3年)、安藤柔(3年)、工藤天(3年)、佐藤杜羽(3年)、MF中西大晴(3年)、佐々木颯太(3年)、大津嘉一(3年)、石川真斗(2年)、FW河野宗眞(3年)、黒葛原結天(3年)の11人だった。 神村学園は開始5分の2得点で相手を呑み込んだ。前半2分、セットプレーの流れから左の大成がライナー性のクロス。これをファーサイドの新垣が頭で逆サイドのネットへ押し込んだ。さらに5分、中央で相手DFと入れ替わった金城が一気に前進。左でサポートした名和田へパスが通り、エースは難なく左足で2点目のゴールを決めた。 神村学園はその後も相手を圧倒する。仙台育英の城福敬監督が、「ウチはこう守っても、クリアしたらその後立ち止まって、攻守の切り替えで間に休憩が入るんですよね。その辺りがもう、まるで違う」と分析したように、神村学園は攻守の切り替えの速さで大きな差を生み出していた。 インターセプトした黒木のスルーパスで徳村が抜け出したほか、CKから中野がヘディングシュート。鈴木や松下の奪い返しから、有村監督が「徳村がやっぱり調子がいいのが1つ大きなことだと思いますね。アイツが行けるんで、名和田が空くし」と評した2年生FW徳村や金城、大成がスピードを活かして次々と相手ゴールを強襲する。 そして18分、左の大成から名和田を経由し、中央の金城が左足シュート。これをゴールへねじ込むと、22分には左の名和田がGK頭上を越える柔らかいクロスを通す。走り込んだ吉田が右足ダイレクトで合わせて4点目。仙台育英は抜群のスピードを持つ10番FW黒葛原や石川がドリブルでボールを運んでいたが、前半半ばまでに4点ビハインドを負う展開となった。 仙台育英は26分にMF長滝立優(2年)を投入すると、30分には黒葛原のキープから左SB渡邊が最前線まで飛び出してラストパス。だが、石川の決定的なシュートは神村学園DFにブロックされてしまう。また、仙台育英はCB安藤が粘り強くボールを奪うなど対抗していたものの、神村学園は34分にも追加点。右DF中野のインターセプトから、鈴木が逆サイドの名和田へ見事なパスを通す。これを受けた名和田が中へのドリブルから右足シュートを決め、5-0とした。 得点ランキング首位の名和田は、3試合で8ゴール目。だが、0-5とされた仙台育英も意地を見せる。後半ファーストプレーでコンビネーションから工藤がクロスバー直撃のミドルシュート。さらに連続攻撃からのスルーパスに長滝が走り込む。これは神村学園GK江田が身体を張って阻止。勢いを持って後半をスタートした仙台育英はさらに8分、長滝の折り返しを工藤が右足で狙う。だが、神村学園はゴールカバーした新垣がクリアして得点を許さない。 大量リードの神村学園はハーフタイム、金城をMF佐々木悠太(2年)へ入れ替えただけ。有村監督が「色々な人に自分たちのサッカーを見せる」「自分たちらしいサッカーを最後までやる」と説明するように、メンバーを大きく代えずに自分たちの良さをどんどん表現しようとした。だが、大量リードもあってか、後半はやや利己的なプレーが多く、ボールロストの数が増加。流れの悪い時間が増えてしまう。 22分には、3枚替えしてDF友利楓樹(3年)、MF花城瑛汰(1年)、MF福島和毅(2年、U-17日本高校選抜)を投入。だが、MF糸井洸翔(3年)やMF伊藤琉斗(2年)、DF松井琢磨(3年)を加えた仙台育英に前から強く当たられ、次の1点を奪えない時間帯が続いた。 それでも、神村学園FW秋澤悠宇(3年)、仙台育英DF倉上虎太朗(3年)がそれぞれ投入されて迎えた35+6分、神村学園は佐々木のドリブル突破を起点とした攻撃から右の友利が右足シュート。そのこぼれを秋澤がゴールへ押し込んだ。直後に自陣でのミスからピンチも新垣が連続でシュートブロック。無失点を維持し、6-0で試合を終えた。 育成に注力する神村学園は近年、FW福田師王(現ボルシアMG)やDF吉永夢希(ゲンク)、名和田ら国内外からのクラブから注目されるタレントを輩出。同時に全国制覇を目指してきたが、頂点まで勝ち上がることはできていない。だが、今年は県予選の最中から「本気で日本一を取りに行く」と熱量を持って、「本気」で目標達成にチャレンジしている。今大会は日本一を本気で狙うチームへの学校側の理解もあり、帯同スタッフが増加。この日は遠征に来ているセカンドチームや1年生チームの後押しを受ける中、圧倒的な戦いを見せた。 日本一への挑戦はまだまだこれからだ。名和田は「得点も多く取れてますし、そこはいい点なんですけど、まだまだ細かい部分を突き詰めていかないといけないなっていうのは凄く思っています」と指摘する。準々決勝の対戦相手は、同じプレミアリーグ勢の静岡学園高(静岡)。名和田は「どの相手もほんとに負けられないので、自分たちが目標としている日本一に近づくために勝ちたいと思います」と力を込めた。圧倒的な結果に満足することなく、引き締めて準々決勝へ。まずは静岡の名門を破り、17年ぶりの準決勝進出を果たす。