『M-1』連覇「松本人志でも優勝、松本不在でも優勝」の意味…令和ロマン・くるま「新カリスマ」のワケ
2年連続、不利なトップバッターからの優勝
また彼らの今年の優勝の凄さは2連覇をしたという事実だけにとどまらないでしょう。第1回大会の中川家以来となる「トップバッターからの優勝」を果たしたのが昨年。そして今年も昨年と同じようにトップバッターからの優勝を成し遂げました。 例年トップバッターは審査員がその後に出演するコンビのことも考えて低めに採点する傾向から、不利とされている順番です。 「トップは絶対に嫌だ」と考えるコンビが多い中で、出演順を決める笑神籤(えみくじ)で阿部一二三選手が令和ロマンの順番をひいたことから、会場もテレビの前の視聴者も興奮は最高潮に。 まだ誰もネタをしていない序盤も序盤で番組が盛り上がり、さらにその盛り上がりをも超えていくネタの面白さでファーストステージ2位の高得点を獲得したのです。
審査員が松本人志でも優勝、松本人志じゃなくても優勝
お笑い界に長らくカリスマとして君臨してきた松本人志さんが活動を休止してまもなく1年。 お笑いの賞レースにおいては松本さんからの評価の影響は大きく、審査員席に松本さんがいるかいないかでその価値が変わるかのように見られることも多くありました。 しかし今年のM-1は松本人志さんがおらず、審査員席には中川家礼二さんや博多大吉さんなどベテランもいるなか、今年初審査を務めたオードリー若林さんやアンタッチャブル柴田さんなど、現役M-1戦士により近い世代である芸人が多く名を連ねていました。 審査員席を見るだけでも、お笑い界の構図が大きく変わっていることがうかがえる大会だったことは明白。この審査員席が一気に若返り、目新しいチャンピオンが登場したのであれば「去年までのM-1のほうがよかった」、「松本人志なら今年をどう審査したのだろうか」といった思惑が渦巻いたことでしょう。 しかし令和ロマンは、昨年は松本人志がいても優勝して今年は松本人志がいなくても優勝。平成を駆け抜けたカリスマがいない今、令和のカリスマが新たに誕生した今回の優勝とも言えます。 「松本人志」という存在への喪失感が完全に忘れ去られるほどの盛り上がりと、「松本人志がいてもいなくても関係ない」という証明にもなった2連覇。 これは松本さんがテレビから姿を消してちょうど1年という期間だったというタイミングもあるかもしれません。しかしそうしたタイミングや運も味方につけ、時代に愛されていることもカリスマたる所以(ゆえん)と言えるでしょう。