「Z世代って何ですか?」なぜ中日の“切り札”立浪監督は失敗したのか…チーム再建の情熱と世代間ギャップ…フロントの責任
今季はその技術を補うためにベンチからの細かなサインで縛った。狙い球だけでなく追い込まれてからノーステップ打法に切り替えることまでをサインで指示した。だが、立浪監督の声は、選手に響かなかった。そもそもやろうとしてできなかったのか、やろうともしなかったのかもわからない。立浪監督の全盛期を知らない世代とのギャップもあったのだろう。中日に限ったことではないが、監督、コーチの指導よりも、結果を出している選手から学び、ユーチューブや、映像、データに頼る選手が増えている時代に、立浪監督の指導スタイルははまらなかった。そして教え過ぎた。本来、監督がすべき仕事は、もっと俯瞰でチームをとらえるマネジメントである。 「Z世代って何ですか?」 立浪監督に逆にそう聞かれた。 「その世代は、怒られたり、殴られたりしていないから弱い。弱いんだけど自分のものは持っているんです。扱いは難しいですが、気を使ってはいません。僕は『いいものはいい』『悪いものは悪い』と方針を出した方がいいと考えているんです。だから自分の考えは遠慮などせずにハッキリと言います」 その考えは間違っていない。モチベータータイプの監督がもてはやされているが何も歯の浮くような言葉を並べる必要もない。だが、中日にはまだ「いい」「悪い」で選手を選択できるほどの戦力はなかった。そして自らの打撃理論を押し付けるのではなく、選手の考えに耳を傾けた上で、納得させ、感心させ、深く理解させた上で、理想の打撃理論を“説く”べきだったのかもしれない。結果的に「名選手、名監督にあらず」ーーのステレオタイプとなってしまった。 何もせずに辞めていく監督ではなく、チームを再建するために何かをしすぎて辞めていく監督…。それは悲劇だし、その立浪監督の情熱を正しい方向へ導けなかったフロントにも問題はある。そしてトレードやドラフトといった根本的なチームの戦力の整備という重要なデザインを立浪監督に“丸投げ”したことが間違っている。 立浪監督から聞いた忘れられない言葉がある。 「自分が批判されることはいいんです。何年後かに“あのときああして良かったな”とファンの方々にも納得してもらえると思うし今その準備段階なんです」 立浪監督の蒔いた種は、いつどこで花開くのだろう。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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