「Z世代って何ですか?」なぜ中日の“切り札”立浪監督は失敗したのか…チーム再建の情熱と世代間ギャップ…フロントの責任
40歳までプレーして、通算2480安打や通算487本の二塁打の日本記録などを誇り、野球殿堂入りした立浪監督は、絶対的な打撃理論を持っている。1m73の小さな体で、輝かしい成績を残した成功体験と自信が、就任会見での「打つ方はなんとかします」という言葉の根拠だった。しかし、その自信が失敗の“元凶”だったのかもしれない。 自らキャンプ、シーズンを通じて積極的に教えた。問題点をみつけると黙ってはいられなかった。驚いたのは2年目に獲得した新外国人のアキーノに対しキャンプ初日から打撃改造に乗り出したことだった。ルーキーや外国人には、しばらく手をつけないのが球界の鉄則だが、立浪監督は、そんな鉄則もおかまいなしだった。 アキーノはメジャー通算41本塁打で、2019年の夏場には10戦で7発を打ってメジャーでも話題となったほどの長打力を誇るが、ここ2年の平均三振率は約36%もあり、日本で失敗する外国人の典型的なプルヒッターだった。立浪監督は、和田打撃コーチと二人三脚で、突っ込み癖をなくして、投手との距離を取れるようにする打撃修正に手をつけた。「本人も承知の上」と立浪監督は説明していた。 元阪神のランディ・バースや元ヤクルト、巨人などで活躍したアレックス・ラミレスなど、日本で成功した外国人選手の多くは、最初から凄かったわけではなく、プレーの中で変貌、進化した。それは本人のクレバーさと適応能力があったからこそ。無理やり修正を加えるのとは違う。結局アキーノは、20試合で1本塁打しか打てずに球団を去った。そもそも修正が必要な“欠陥”外国人の獲得にストップをかけなかったフロントの責任も重たい。 立浪監督は情熱の人だった。 今春の沖縄キャンプに筆者が訪れた1日だけでも、新外国人のディカーソン、上林、そして細川に付きっきりでタイミングの取り方などに細かなアドバイスを行っていた。自らの理想の打撃理論がチームに浸透すれば絶対に打てるようになる。そういう信念のもと動いた。実際、1年目に最多安打のタイトルを獲得した岡林、福永、田中ら、そういう熱血指導の中から若手が出てきた。立浪監督の大きな財産だろう。しかし、チームとして打線は機能しなかった。立浪監督はチャンスで打てないこと、四球や進塁打などでつなぎができないことを、こう嘆いていた。 「追い込まれてから1球、2球、粘ることができない。ぎりぎりまでボールを見て難しいボールをファウルにしながら、チャンスボールを待つことができない。意識と技術の問題なんです。また単純に速いストレートで攻められると打てない。ストレートを狙って仕留めにいくと変化球ですかされる。たまたま打てないんじゃない。タイムリーを打てないだけでなく、ランナーを進めることもできない。これも技術が足りないんです」
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