ボーイング新経営陣、航空各社の信頼回復が急務に-CEOら交代で
(ブルームバーグ): 米航空機大手ボーイングが25日に経営陣の刷新を発表し、同社の主要顧客はようやく望んでいたものを手に入れた。
米大手航空会社の経営トップはこのところボーイング取締役会に対し、同社製航空機の安全性を巡る問題の深刻化に対処するよう圧力を強めており、同社はデービッド・カルフーン社長兼最高経営責任者(CEO)をはじめとする3人の交代を打ち出した。
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスとサウスウエスト航空、アメリカン航空グループの3社のCEOは先週、カルフーンCEO抜きで懸念を表明することができるよう、ボーイング取締役に会合を求めており、経営陣刷新はこれを受けたものだと事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
大手航空3社のCEOには、他の航空各社の経営陣や業界団体に加え、ボーイング機を利用する一般の搭乗客、こうした搭乗客を代表する連邦議会議員といった広範囲に及ぶ利害関係者の不満の声が味方になっていたと、関係者は話す。
ボーイング、カルフーンCEOが辞意表明-民間機部門トップ交代
コンサルティング会社エアロダイナミック・アドバイザリーのマネジングディレクター、リチャード・アブラフィア氏も今回の動きの背景に関し、カルフーンCEO抜きでボーイング取締役との会合に臨む航空各社トップの不満のほか、一般の搭乗客の怒りを反映したものだと指摘した。
アラスカ航空が運航する「737MAX」の機体の一部が飛行中に吹き飛ぶ事故が1月に発生し、ボーイングが危機に見舞われて以降、同社取締役会は経営陣刷新を協議し、先週末に正式な決定に至ったと、関係者は語った。同社は年次の委任状説明書を提出する前に刷新のシグナルを発したい考えだった。
ボーイングの新たな経営陣は刑事捜査や財務状況の悪化、規制当局の監視強化、競合する欧州の航空機メーカー、エアバスにシェアを奪われている現状などに対処しなければならない。さらに現金創出に偏重した経営からの転換の機会を得る一方で、航空各社や一般の搭乗客にボーイング機の安全性を納得してもらうという課題も抱える。