体操塚原、オーストラリアの五輪代表へ ── 塚原の飽くなき挑戦
10月3日から12日まで中国の南寧で行われた体操の世界選手権に、アテネ五輪金メダリスト、塚原直也(37歳、朝日生命)の顔があった。昨年4月21日にオーストラリア国籍を取得した塚原は、同国代表として2年連続2度目の出場を果たしていた。オーストラリア代表としてリオデジャネイロ五輪に出ることを目指している塚原は、同国のエース。個人総合予選を兼ねた団体総合予選ではチーム6人中最高得点をマークした。 他のメンバーの成績が振わなかったため団体予選では26位に終わり、上位8カ国で争われる団体決勝には進めなかったが、個人総合予選としては昨年マークした82・965点を約1・5点上回る84・398点。全体のレベルが上がったことで順位は昨年の26位から37位へと下がり、24人で争う決勝には進出できなかったが、37歳という年齢を考えれば称賛に値する成績と言える。 日本以外の国からリオ五輪を目指す例としては、カンボジア代表として男子マラソンでの出場を目指す猫ひろしがいるが、猫の場合は、五輪の参加標準記録を実力でクリアするのは事実上困難とあって、スポーツ小国に与えられる特例枠を狙っての挑戦になっている。 では、塚原の場合はどのような状況なのか。オーストラリア代表としてリオ五輪に出るには、どのような道筋があるのか。 オーストラリアは過去に2度の五輪開催経験があり、ロンドン五輪でのメダル獲得数は金7、銀16、銅12(総数35)で、金7、銀14、銅17(総数38)の日本とほぼ互角だった。大会ごとに多少のばらつきはあるが、メダル獲得数で言えば日本よりやや上くらいの位置にいる。世界では10位以内に入る強豪国グループの一員だ。ただし、男子体操ではまだ世界上位には達しておらず、今回の世界選手権の団体予選26位という成績が示すように、世界から取り残されている。 中国・南寧で取材に応じた塚原は、「今回のオーストラリア代表メンバーは、世界大会が初めてという選手が3人おり、経験不足が響いてミスが多く出てしまった。僕自身は、ノーミスだったことは良かったが、故障もあってこれ以上は無理に難度を上げることができなかった」と言い、結果を残念がった。