膝の痛み… 放置せずすぐ受診すべき症状とは? 放っておくと歩行困難になる恐れも!?
変形性膝関節症の治療と予防
編集部: 変形性膝関節症はどのようにして治療するのですか? 渡邉先生: 症状が軽い場合には痛み止めの内服薬を服用したり、湿布やクリーム、軟膏、ゲルなどの外用薬を活用して、炎症を抑えたりするのが一般的です。特に変形性関節症専用の湿布は非常に優れており、内服薬と同等の効果が期待できます。 編集部: ほかにはどのような治療法がありますか? 渡邉先生: 膝の関節内にヒアルロン酸を注射したり、痛みがひどい場合にはPRP(多血小板血漿)療法のような再生医療を行ったりすることもあります。 また、理学療法士のリハビリテーションを受けて、筋力を向上させたり、関節の可動域や歩き方などを改善させたりすることもとても重要になってきます。 編集部: それでも治らない場合にはどうするのですか? 渡邉先生: それらの保存療法でも痛みなどの症状が改善できない場合には手術を検討します。手術には半月板や滑膜に対する「関節鏡手術」、骨を切ってO脚もしくはX脚を矯正する「骨切り術」や痛んだ関節を金属に置き替える「人工関節置換術」などがあります。 編集部: 変形性膝関節症はどのようにして予防すれば良いのでしょうか? 渡邉先生: もっとも気をつけなければならないのが肥満です。通常の歩行時では体重の数倍もの負荷が膝にかかるため、体重が重くなればなるほど、膝に対するストレスも増大します。そのため、標準体重を維持するように摂取エネルギーのコントロールを心がけましょう。 編集部: そのほかには? 渡邉先生: 膝に痛みがあると「痛いから動きたくない」と考えがちですが、そうなると膝を支える筋力が落ち、体重増加を招いてますます痛みが悪化するという悪循環に陥ってしまいます。 そのため、積極的に運動することが大事。特に、太ももの前面にある大腿四頭筋を鍛えるトレーニングはとても重要です。 編集部: そのほか、どのようなトレーニングをすれば良いでしょうか? 渡邉先生: 関節の可動域を広げるストレッチや陸上でのウォーキングのほか、水中ウォーキングやジムの自転車こぎのマシーンによる有酸素運動は膝への負担が少ないためお勧めです。可能であれば週3回以上、1回1時間できると望ましいと思います。 編集部: 食事と運動に気をつけることが大事なのですね。 渡邉先生: 自分で運動を続けることも大事ですが、それ以上に重要なのが医療機関で理学療法士による運動リハビリテーションを行うことです。 運動リハビリテーションでは筋力の向上や可動域の改善をめざすほか、正しい歩行のトレーニングや自宅で行う自主トレーニングの指導も行います。ぜひ、医療機関を選ぶ際には理学療法士によるリハビリテーションを行っている整形外科を選択しましょう。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 渡邉先生: もし膝に痛みや違和感を覚えたら、できるだけ早めに膝専門の先生を訪ね、早期にMRI検査を受けるようにしましょう。初期であれば保存療法で済みますが、進行すると歩行が困難になったり、手術が必要になったりすることもあります。 必ずMRI検査を行い総合的に評価してくれる専門医を受診しましょう。また膝に痛みを感じる場合、肥満が原因となっていることも少なくありません。その場合には速やかに減量をはじめ、膝の負担を軽減することが必要です。