坂本龍一が遺したものを次世代に渡す『sakamotocommon GINZA』がスタート!
2023年に逝去した坂本龍一。〈Ginza Sony Park〉で彼の音楽や蔵書に触れられるプログラムが行われています。工事中のビルで行われる、10日間限りのイベントです。 【フォトギャラリーを見る】 「完成品よりプロセスのほうが面白い」──生前の坂本龍一はこんなことを語っていた。彼が面白いと感じたそのプロセスを垣間見ることのできる「sakamotocommon GINZA」が開かれている。会場は来年1月26日にグランドオープンを控えた東京・銀座の〈Ginza Sony Park〉。工事中という、こちらも完成までのプロセスの途上にある空間だ。
プログラムは建物の3つのフロアで行われる。地下2階でノイズのような音を響かせているのは坂本龍一+真鍋大渡の《Sensing Streams 2024 - invisible inaudible (GINZA version)》。人間が見たり聞いたりすることのできない波長の電磁波をリアルタイムで捉えて視覚化・音響化している。この作品はこれまで札幌やアムステルダムなど世界各地で展示されており、場所ごとにとらえる周波数を変えてきた。観客はコントローラーで電磁波を視覚化するためのアルゴリズムや周波数を変えることができる。電磁波は都市の血流のようなもの、と真鍋はいう。感知できない電磁波は生き物のようにうごめく都市のエネルギーを運んでいる。
3階では雨の音や風の音などの環境音が流れている。これは生前の坂本が日々採集していたフィールドレコーディング素材をこの企画のためにミックスしたものだ。坂本は日頃からマイクやレコーダー、スマートフォンを持ち歩いて気になる音はすべて録音していた。そのうちの一部は作品に使われることもあったが、大半は公開されることなく、機器の中で眠っていた。
このフロアでは「坂本図書」の蔵書から同タイトルの古書を揃えた「Sakamoto Library Extention」がある。「坂本図書」とは生前の坂本の構想により作られた、彼の蔵書を読むことができるスペースだ。場所は非公開、完全予約制で運営されている。銀座の「Sakamoto Library Extention」では実際に本を手に取ることもできる。坂本のフィールドレコーディングとともに読書を楽しめる。