【特集「乗るなら今だ!心昂る、V8エンジン」⑤】箱根へのドライブもまた楽し。クーペとスパイダーでマクラーレン 750Sの「普段着的性能」を味わい尽くす
並みの高級車では太刀打ちできないオーラ
V8ツインターボエンジンをリアミッドに搭載するマクラーン750Sは、先代モデルである720Sを全方位で進化させている。クーペとともに新たに追加された750Sスパイダーを同時に連れ出し、それぞれの個性を探った。 【写真はこちら】軽量・高剛性ゆえどちらを選んでも遜色のないパフォーマンスを堪能できる(全14枚) 1月下旬、サーキットで全開走行を体験できたが、マクラーレン 750Sのパワー、加速、ストッピングパワー、そしてハンドリングすべてが高次元でバランスされているのに驚いた。 ミッドシップなのに、そしてこんなにハイパワーで速いのに安心感が高く乗りやすい。まるでレーシングカーに乗っているような感覚でアドレナリンが噴出した。 サーキットではすこぶるゴキゲンな走りだったが、一般道路ではどうなんだろう、ということで、クーペとスパイダー、2台を連れ出し都心から箱根までドライブした。 都心の駐車場でもひときわオーラを放っている750S。高級車が並ぶ中でもすぐに視覚に入ってきた。 まず乗ったのは赤のスパイダー。サーキット走行ではじっくり室内空間を確認できなかったが、改めて見るとカーボン素材が多用され、徹底的な軽量化が図られている。シンプルでスポーティな雰囲気でありながら、価格に見合った〝上質感〟も備わる。 ステアリングコラム上にメーターパネルがマウントされているため、どんなポジションでもメーターまでの適正な距離を保てる。そして、そのパネル上部、右手にパワートレーン、左手にハンドリングのモードスイッチが装備される。ハンドルから手を離さず、目線も外さず操作でき、とくにスポーツドライビングの際には運転に集中できる。 センターコンソールに縦長のディスプレイがあり、その下にギアセレクターをはじめとする最低限のスイッチが並ぶ。Apple CarPlayにも対応しているので、スマートフォンをつなげばナビから音楽まで、日常シーンでも便利で快適だ。
緊張感、扱いづらさはまったく感じない
いざスタート、となると、ちょっと緊張した。さすがにスラントしたノーズはまったく目視できず、車幅も掴みにくいからだ。でも、一般道に出てサイドミラーを確認すると、車線に余裕があることが認識でき、ようやくひと安心した。さぁ、ドライブを堪能、というところだったが首都高に乗るとすぐに渋滞にハマってしまった。 4L V8ツインターボエンジンを搭載する750Sは、750ps、800Nmという凄まじいパワースペックを有する。しかし、渋滞で数mずつチョコチョコ進むような状況ではきれいに爪を隠し、飛び出し感とか、パワーに振り回されるような感じはまったくなく、このような状況でも扱いづらさを感じさせない。2ペダルだし、アイドリングストップも装備されている。 やがて渋滞を抜けて流れ出すも、首都高は路面の継ぎ目が続く。サーキットであれほどまでに勇ましく走るのに、こんなシーンでもまったく不快感のない跨ぎ方を見せる。突き上げもなく、それでいてフラット。まるで魔法のサスペンションだ。 試しにハンドリングのスイッチをSPORTモードにしてみると、硬い、柔らかいというような変化よりも、路面からの入力がより素早く収束するという感じの変化。ただし、TRACKモードではさすがに突き上げがキツかった。 パワートレーンは、SPORTにすると明らかにアクセルレスポンスが高まる。けっして大袈裟でなく、ちょっとアクセルペダルを煽っただけで、内臓が動くようなトルク感が伝わる。いずれも、モードによってかなりの違いがあり、その差が大きい。だからこそ、一般道からサーキットまで、快適に走れるのだろう。