暗号資産セクター資金調達、案件減も年2兆円規模に成長か:アナリスト
ピッチブック(PitchBook)が新しく出した四半期レポートによると、第2四半期(4-6月期)はベンチャーキャピタルによる暗号資産(仮想通貨)案件は減じたものの、暗号資産セクターへの熱意は依然として高いという。 第2四半期における暗号資産の資金調達は、全体で2.5%増の27億ドル(約3970億円、1ドル=147円)となり、503件の案件があった。総額は増加したが、件数は12.5%減少している。 ピッチブックの新興テクノロジー担当シニアアナリスト、ロバート・ル(Robert Le)氏はCoinDeskのインタビューにこう答えている。 「質への逃避が起きている。数年前までは、投資対象はもっと広範囲に及んでいた」 ル氏は、この一部に集中する風潮の強まりは、過去1年間のデータに見られた傾向を引き継いでいると語った。 第2四半期における最大の案件は、レイヤー1プラットフォームMonad(2億2500万ドル、約330億円相当のシリーズA)、レイヤー1プラットフォームBerachain(1億ドル、約147億円相当のシリーズB)、ビットコインのリテイキング・プラットフォームBabylon(7000万ドル、約103億円相当のアーリーステージラウンド)であった。分散型ソーシャルネットワークのFarcasterは1億5000万ドル(約220億円、シリーズA)を、ブロックチェーンベースのゲームプラットフォームのZentryはアーリーステージラウンドで1億4000万ドル(約205億円)を調達した。最も多額の資金調達が行われたのは、スケーリングや金融サービスを含むインフラであった。
年間の調達額は1.2から1.4倍か
ル氏は、2024年の全体的な資金調達額は昨年より20%以上増加するとの見通しを示した。昨年は約100億ドル(約1兆4700億円)だったのに対し、今年は120億ドルから140億ドル(約1兆7600億円から約2兆5億円)になると予想している。 ブロックチェーン・ネットワークは、他の産業でよく見られるように合併や買収によって時間の経過とともに組織が少なくなるような訳ではないが、統合の時期を迎える可能性が高い。現在、150以上のレイヤー1とレイヤー2が稼働しているが、これらのプロジェクトがすべて長期的に存続できる可能性は低い。ル氏は、3つから5つのブロックチェーンが開発者とユーザーの活動の大半をホストすると予想している。 「あまりにも多くのレイヤー1とレイヤー2が存在している。ソラナ(Solana)、ビットコイン(Bitcoin)、オプティミズム(Optimism)、アービトラム(Arbitrum)、ベース(Base)が勝ち組だ」と同氏は述べる。 ほとんどのプロジェクトは、(ボット主導の取引とは対照的に)実際のユーザーがほとんどいない「ゾンビチェーン」になるだろう。 同氏によると、DePIN(分散型物理インフラ)は、非ネイティブの暗号資産ユーザーへのアピールを理由に、今サイクルで傑出したセクターの1つになる可能性がある。同氏は「DePINは最も強力なナラティブの1つになるだろう。一番強力かもしれない」と述べ、「前サイクルでは、非常に多くのナラティブがあったが、それらすべてが暗号資産ネイティブユーザーに関するものだった。DePINを前にして、非ネイティブユーザーに関する活動が多く見られる。」と付言した。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:VCs Show 'Flight to Quality' in Q2 Funding Report※編集部より:本部を一部修正して、更新しました。
CoinDesk Japan 編集部