夏ドラマ名作ベスト5。“西園寺さん”も最高だったけど、圧倒的な面白さのNo.1は
令和を生きる人たちの「はて?」が露わに
宮藤官九郎氏は、強烈な登場人物たちをエンターテイメントとして魅力的に描きながら、その時代を、社会を絶妙に切り取る天才だと思います。本作においても、“多様性”という言葉ですべてを許容しているかにみえるイマに蔓延(はびこ)る“違和感”を物語のなかで浮き彫りにしていきました。 その違和感とは、出演陣が被りすぎとも取り沙汰された朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)のヒロイン・寅子(伊藤沙莉)風にいえば、「はて?」です。令和を生きる人たちが漠然と抱えるモヤモヤや不平等感に、ヨウコが「命は平等」と“雑に”寄り添ってくれる面白さがクセになっていきました。 9月11日に最終話を迎えた本作。最後の2話では真正面から“コロナ禍”が描かれました(ドラマの設定では、未知のウイルス・ルミナにより世界中が再び脅威にさらされる)。その重みとリアリティは、視聴者全員が共通して感じたはず。 クドカン作品は、誰かを一方的に悪者にしない。どんな価値観を押し付けもしないし、否定もしない。不平等な世の中でも、“命があること、その命はいつか尽きること”だけは平等だから、自分の命を全うするしかない。そんなメッセージを、“雑に”受け取った気がします。絶妙な塩梅で社会風刺をするクドカンワールドが、たまらなく好き! 今回も堪能できました。 ======== 配信系ドラマではNetflix『地面師たち』が大いに盛り上がるなど、今年の夏も熱いドラマが沢山楽しめました。個人的なランキングですが、みなさんのお気に入りはありましたか? <文/鈴木まこと(tricle.ltd)> 【鈴木まこと】 tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
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