室内でキノコ狩り…口コミで広がりリピーター増 キクラゲやシイタケ栽培 福井県鯖江市
福井県鯖江市の住宅街に、室内でキノコ狩りを楽しめる施設がある。その名も「鯖江隠れ家きのこ」。市内の女性が起業し、古い空き家を使って栽培している。「キノコの魅力を身近に感じてほしい」。今夏のオープン以来、口コミで広がり、リピーターが増えるなど静かな人気となっている。 運営しているのは、市内在住の前田有美さん(30)。長年、胃腸の調子が優れず悩んできたが昨年、生のキクラゲを取り寄せて食べたところ「おいしさにびっくりした」。体調も良くなり、「体がキノコの魅力に気づいた」という。 マッサージの仕事をする傍ら「自分で育ててみたい」と思うようになり、千葉県や滋賀県などの農家に出向いて栽培を学んだ。鯖江商工会議所の起業セミナーにも参加して開業準備を進め、父が所有する空き家を使い、今年8月にオープン。妹らの協力も得て軌道に乗り始めた。 空き家は築約70年の機屋跡で住宅街にひっそりたたずむ。木造の建物に入ると、二つの大きな金属製の棚にキクラゲやシイタケなどの菌床が並んでいる。旬のシイタケは次々と成長中。肉厚で柔らかく、ステーキやすき焼きなどにお勧めという。11月末からはナメコの収穫時期に入る。 収穫体験料込みの1グラム4円で量り売りしている。量はまだ多くないが、市内の飲食店や道の駅西山公園にも出荷している。 収穫体験に4、5回訪れたリピーターもいる。前田さんは「キノコ嫌いだった子がここで収穫して、食べることができたと聞いてうれしかった。取り組みは食育や地産地消にもつながる」と実感を込める。「独特の雰囲気とキノコ狩りを楽しんでもらって鯖江隠れ家きのこのファンになってほしい」と話している。 来年からはキノコのオーナー制度を導入する方向で準備を進めている。
福井新聞社