LUUPへ賛否相次ぐ 「新しいものにすぐ反対」はユニコーン企業が生まれない日本の空気感? 海外経営者「日本で叩かれることが海外では褒められる」
■新しいものにすぐ批判…日本の空気感
すでにサンフランシスコでは、自動運転タクシーが走っている。ブランドン氏は「約2年前に実証実験をふくめて、2社が公道で走り始めた。1社は1年弱前に事故を起こして業務停止処分中だが、また復活するらしい」と現地の様子を語る。 こうした状況を踏まえ、「トライアンドエラーの繰り返しで、イノベーションは発達する。自動車も飛行機も100%の安全はない。日本には技術があるが、それを世の中に出す勇気とリスクテイキングが少ない」との見解を示す。 佐々木氏は“キャズム理論”を引き合いに出し、「日本のみならず、新しいものが出ると、何でも否定したがる人は一定数いる」と話す。また、安倍晋三元首相の回顧録を読んで、「『日本人は新しいものはすぐ反対するが、社会に普及してルールになると、案外すんなり受け入れる』とあった。そういう民族性だと、LUUPも全国で使えるようになれば、『まだ使ってないの?』となる」と予想した。 ブランドン氏は、日本独自の「新規参入の難易度」に触れる。「200年以上続く世界の企業のうち、65%ぐらいが日本企業。日本は大企業が長年続くが、アメリカは大企業でも15年以内に半数以上がなくなる。新しいスタートアップが入り、破壊的なイノベーションが起こる」。 具体例として「Netflixが出てきてビデオレンタルが、Amazonが出てきて米国トップの書店がつぶれた」と挙げる。「当たり前に新陳代謝が行われているが、日本では既存企業が強すぎて、ライドシェアやAirbnb、自動運転が入りにくい現状がある」という。
■ユニコーン企業が生まれるために必要な雰囲気とは
こうした日本の風土から、ユニコーン企業は誕生するのか。「そもそも国内向けだけなら、ユニコーンになるのは難しい。LUUPに似た、アメリカの“Lime”が日本進出を始めている。日本でも新しいことをガンガンやらないと、アメリカの膨大な資本力とチーム力で実現して、いつの間にか黒船にやられてしまう」と、ブランドン氏は警鐘を鳴らす。 佐々木氏が「国産スタートアップつぶし」の歴史を振り返る。「インターネットビジネスの初期から、過去20年くらい続いている。国産動画サービスが、出版やテレビ業界から『著作権はどうした』と言われているところに、YouTubeがやってきた。SNSもmixiのような国産サービスから、FacebookやXへ移っていった。日本企業は黒船に弱い」。 新たな挑戦に対して、「アメリカでは『面白いね』『手伝うよ』とポジティブに受け止められる」と、ブランドン氏は語る。「Netflixが多額の予算で高クオリティーのものを作ると、日本のテレビ局のコンテンツがしょぼくなる。局の売り上げは減り、社員は給料が減るか、職を失う。日本企業は待遇が悪くなる可能性がある」。歌舞伎町ゲイバー「CRAZE」店員のカマたく氏は「なぜ黒船は批判しないのに、日本企業には批判するのか。たたかれたときの“気にしすぎ”もすごい」と疑問を持つ。 ブランドン氏は「日本人は“ずるさ”を批判するが、アメリカでは“どれだけずるくできるか”が勝負だ」と違いを説明する。「自分にしかできない、ずるさのアドバンテージで戦う。日本では、出し抜いた人間を周囲が一斉にたたく。アメリカでは、“たたく”より、“ほめる”ことが多い。同じことをやっても、環境によって反応が違う。自分もアメリカに移住して、モチベーションの高まりを体験した」。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部