フォルクスワーゲンの新型「T-Cross」を徹底リポート!ロングツーリングに最適なコンパクトSUVだ
同一車線内全車速運転支援システム“Travel Assist”をアクアラインで試した
長距離走行となれば、運転支援機能の出番です。アクアラインで千葉を往復しました。 前述の通り、全グレードで標準装備されるようになったTravel Assistとは、他のフォルクスワーゲン各車と共通するものです。 含まれている機能は、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)。 ACCは設定したスピードと車間距離を保ちながら前のクルマにずっと付いて走れます。LKASはよそ見などの不注意で車線からハミ出ないようにクルマがそれを監視していて、ハンドルを回してアシストしてくれる機能。どちらも他の「運転支援機能」と呼ばれることがあります。 どちらの機能もインターフェイスがわかりやすく、ステアリングホイール上に配されたボタンやレバーなども操作しやすく、使いやすい。メーターパネルに映し出される表示が大きいだけでなく、隣の車線を走るクルマまでも映し出し、他車の存在と、その距離感や速度差などをイメージすることが可能となっています。 LKASのセンシングは過敏でなく、効きも穏やか。最新のBMWやレクサス、BYDなどよりも穏やかです。 長距離の場合は、これら運転支援機能を有効にして走れば、確実に脳と眼と右足の負担が減って、疲労が軽減されます。距離が長ければ長いほど効果は大きいですから、大いにお勧めします。
改善してほしい点
ここまで読むと、T-Crossがロングツーリングに向いたコンパクトSUVだと思われるでしょう。大筋では間違いありません。でも、改善が望まれるところもありました。 ◆トランクルームの床の高さ まずは、トランクの床。テールゲートの敷居と床を同じ高さにして荷物を出し入れしやすくしたと説明されましたが、この場合はカバーの位置を変更して、床は下げて敷居を活かしたほうがロングツーリング用に積載量を稼げた上に落下防止にもなり、使いやすくなるはずです。 ◆内装デザイン 次は、内装のデザインとそれがもたらす雰囲気についてです。T-Crossの運転席に座ると、内装が黒を主体にまとめられているために雰囲気が暗いです。コンパクトカーなのだから、もっと明るいグレーやベージュなどでまとめられなかったのでしょうか? ヨーロッパ仕様では、そうしたカラーのフォルクスワーゲンを何台も見たことがあります。 色だけではなく、意匠のセンスにも古臭いところがあります。 そのひとつが、インパネやドアパネルでデザインのアクセントに用いられている「カーボン調パネル」。レーシングカーにしか使われなかった本物のカーボンパネルの意匠を引用したカーボン調パネルをありがたがって、普通のクルマに盛んに使われるようになったのは20年ぐらい前からのことです。 その間に、本物のカーボンパネルを使うクルマも現れましたが、現在では下火となった流行です。どちらにせよ、あくまでもカーボン“調”なのですから、刹那的な流行に過ぎませんでした。とっくに止め時です。