鉄道旅行でまさかのロストバゲージ?荷物車に預けたスーツケースが別物に… かつては衝突事故も、カナディアン乗車記⑤完 「鉄道なにコレ!?」【第61回】
▽無視された安全装置、重りを置く悪習も 事故を起こした機関車の運転席の足元には「デッドマンペダル」と呼ばれる安全装置があった。機関士が居眠りしたり、意識を失ったりした場合はペダルから足が離れるため、数秒後に警報が鳴った。それでも反応しない場合、非常ブレーキがかかる仕組みだった。 ところが事故が起きた当時は「多くの機関士はデッドマンペダルを踏み続けるのが面倒だと感じ、ペダルに重りを置いておく悪習があった」と明かした。このせいで、デットマンペダルは安全装置としての役割を果たしていなかったのだ。 事故翌年の1987年に発行された調査報告書も、デットマンペダルの安全装置としての機能が「しばしば無視されていた」と問題視した。ただ、事故を起こした列車の機関車は大破したためペダルに重りを置いていたかどうかは判明しなかった。 大惨事を教訓に安全装置が見直され、VIA鉄道が現在使っているF40PH―2を含めた機関車の運転席には「機関士が居眠りした場合などに検知できるように改良した安全装置があり、走行中に機関士からの反応がない場合には非常ブレーキがかかるようになっている」という。
▽エコノミーの料金は最上級クラスの10分の1未満 カナディアンで最も安い料金で利用できるのが「エコノミークラス」だ。トロント―バンクーバー間の最低正規料金は年間を通じて1人当たり514カナダドル(約5万8千円)と、旅客機のファーストクラスに当たる2人用の寝台個室「プレスティージ寝台車クラス」(本連載第58回参照)の繁忙期の夏季料金(2024年は5~10月)の1人6762カナダドルの10分の1未満だ。 乗った列車でエコノミークラスに使っていたのは、アメリカの金属加工メーカーだった旧バッドが1954年に製造したステンレス製客車「8112」だった。62席あるクロスシート座席は背もたれを倒すことができるほか、下脚部を置くことができるレッグレストも備えている。全区間に乗車した場合は車内で4泊することになるため、就寝時に一定の配慮をしている。 ▽航空会社のブラックリストに入り長距離鉄道を利用する人も