お笑い芸人で、映画監督 グランプリ受賞して実感した「利点」 漫才で鍛えられた〝特殊能力〟
機材を駆使 企画から編集までワンオペ
複数の映像制作が進行しているため、門田さんのスケジュールは流動的で、忙しさもまちまちです。 「常に4つくらいの作品が動いていて、作品によって関わり方が違うので、毎日やることも違います。例えば、あるYouTube番組では撮影と編集を担当していますが、あるミュージックビデオの場合は、コンセプト作りからサポートしていて、ロケハン、絵コンテ代わりの指示書や香盤表の作成、撮影、編集までワンストップで引き受けることもあります」 そのため、一日中ロケハンで外出する日もあれば、自宅にこもって編集作業をする日もあります。 出張ロケで地方に行く場合は、パソコンを持ち込んで、現地で編集作業をすることも。目まぐるしい毎日ですが「大変だけど、やっぱり楽しい」と笑います。 「最近は機材のレベルが上がって、ワンオペで作品が作れるようになりました。なので、カメラ、監督、照明、音声、編集までほとんど一人でやっています」 映像作品をワンストップで作れる理由は、「芸人なんで、低コストで成立する脚本を考えやすい頭になっているから」と門田さん。 「賞レースの予選のネタ時間は大体2~3分なんで、その時間内に笑いの入ったストーリーを作らないといけません。ライブでも、お客さんを笑わせるために、ネタ中は『ずっと何かを提供しなきゃ』っていう気持ちがあるんで、あまり時間をムダにしたくないんですよね。なので、僕の作る映像作品は、常に何かしらの出来事が発生しています」 テンポよく進むワンシチュエーションの会話劇という作風は、そんな背景から生まれました。 『TOKYO青春映画祭2024』でグランプリを受賞した「クジラの背中で話すコト」は、7分という短い時間の中に、たくさんのメッセージが詰まっていること・それをしっかり伝えられている点が評価されました。 「お笑い芸人としてのネタ作りが監督業で生きています。漫才も脚本も二人の会話劇なので。それに、ネタ合わせの時には、相方と『どうやったらリアルに見えるだろうか?』と考えることも多かったですし、『ここを何秒見てから、こういう言い方してみて』という風に、見せ方の練習をしてきたので、そういったことも監督業に役立っているんだと思います」