「売れないタワマン」を抱えた地方から滅んでいく…不動産バブルの後遺症から抜け出せない習近平主席の三重苦
■中国の信用格付けが下がるリスクも その場合、中国が国債や地方債などの発行を増やし、経済対策を打つ必要性は増す。状況次第で、内陸部の農村地域などから先に財政不安は高まり、地方融資平台のデフォルトリスクは上昇すると考えられる。地方融資平台に資金を融通したシャドーバンクの経営不安も再燃し、信託商品など相対的に利回りの高いローン債権を組み入れた投資商品の債務不履行懸念も高まるだろう。 昨年12月、米信用格付け業者のムーディーズ、本年4月にはフィッチが中国の格下げリスクの上昇を警告した。債券発行の増加、地方政府などの財政悪化で、実際に米欧の大手信用格付け会社が中国の信用格付けを引き下げる可能性は高まっている。 中国政府にとって、財政出動の拡大は景気の安定に必要な政策だ。しかし、問題は、いかに中国が人々の自由を認め、経済のパイの拡大を目指すかだ。そうした政策発動には時間がかかる。それが難しいと、財政支出の増加とともに中国の信用リスクが上昇することは避けられない。 ---------- 真壁 昭夫(まかべ・あきお) 多摩大学特別招聘教授 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。 ----------
多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫