【カレーライス】あこがれの大阪名物、自由軒の「名物カレー」を人生初体験!:パリッコ『今週のハマりメシ』第155回
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。 【写真】名物カレーに串カツ、ハンバーグなどが一緒になったセットも魅力的! それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。 そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。 * * * 今年の8月、コロナ前以来数年ぶりの関西飲み遠征旅に行けたことは数話前に書いたが、それから約2ヶ月後の今現在、僕はまた大阪にいる。 といっても今回は家族旅行なので、大衆酒場濃度は薄め。ほぼすべてを小1の娘の希望優先に行動するので、うかうかしていれば濃度ゼロにもなりかねない。せっかく飲み天国の大阪にやって来たのに......。前回は3泊4日で16軒もの酒場を訪れることができたのに......。 もちろん目的は旅によってそれぞれだからそれもまた良しなんだけど、それでも僕は、今回も隙あらば酒を飲んでゆきたいとは思っている。それが酒と食に意地汚い僕という男だし、「子育てをしながらどう酒を飲むか?」をテーマに『缶チューハイとベビーカー』という本を1冊、書き上げた実績だってある。 初日は昼前に大阪に到着し、どこかで昼食を食べて、観光できるところがあれば寄り、あとは宿でのんびりする予定。宿から近い場所に「天保山」というエリアがあり、そこへ行ってみることにした。 天保山は大阪港にほど近い、人工的に土を積み上げて造られた山。そこに隣接して「マーケットプレース」という施設があり、世界最大級の水族館「海遊館」や、観覧車、ショッピングモールや多くのレストランなどがあるにぎやかな場所だ。 娘はたこ焼きが大好物で、フードコートにあった、たこ焼き発祥の店だという「会津屋」という店のそれを買ったら、妻と一緒に大喜びで食べている。 しかしその横で僕は、実は気が気じゃなかった......。というのも、フードコートに隣接する「なにわ食いしんぼ横丁」というレストランエリアに「自由軒」が入っていたからだ。自由軒とは、明治43年創業の老舗カレー店で、大阪を代表するグルメのひとつとして知られる店。最大の特徴は、ソースとライスが、まるで食べる前に思いっきり混ぜたかのように一体化している見た目だ。「難波本店」の他、唯一存在するのがここ、「自由軒 天保山店」らしい。 無知な自分であるけれど、カレー好きの端くれとして名前はずっと知っていたし、いつかは食べてみたいと思っていた。そのチャンスが、目と鼻の先にある。そこで家族に「大急ぎで食べてくるから、ちょっとひとりで行ってきてもいい......?」とお伺いをたて、無事お許しをもらって訪問が叶うこととなった。やった、人生初の自由軒のカレーが食べられる! 自由軒は、マーケットプレースのフードコートに隣接するレストラン街「食いしんぼ横丁」のなかにあった。昭和レトロな街並みを再現したテーマパーク的エリアで、大阪の名物店も多く出店している。純粋な酒場旅行なら立ち寄ることはないのかもしれないけれど、たまにはこんなベタな観光地感もいい。 無事入店し、まずは「生ビール」(税込660円)。家族旅行中に、ひとり密かに飲む生、なんだか妙にうまいな......。 続けてメニューを検討する。王道の「名物カレー」は、950円の通常サイズと、1280円の大サイズの2種類。そこに、「トンカツ」「ハンバーグ」「エビフライ」「クリームコロッケ」「たこ焼き」などのトッピングをすることもできる。 意外だったのは、ソースとライスが別々の、いわゆるふつうのカレーライス、ずばり「ふつうのカレーライス」というメニューもあるところ。その他、「ボルガライス」「トンカツライス」「チーズハンバーグライス」など、洋食的なメニューもけっこうある。 加えて、天保山店限定のメニュー、「ハイカラセット」「なにわ美味いもんセット」「なおちゃんのお祭りセット」の3種も魅力的だ。いろいろなサイドメニューがトッピングされたお得なセットで、たとえばハイカラセットなら、名物カレーにハンバーグ、クリームコロッケ、串カツ、串エビ、サラダがついて1540円。食いしんぼうにはたまらないものがあるだろう。 けれども僕はそこまで大食いではないし、カレー好きとして自由軒に敬意を表する意味でも、初回の今日はシンプルに「名物カレー」を選ぶことに決めた。店員さん、お願いします!
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