【税務調査】「自営業に税務調査は来ない」⇒油断すれば“痛い目”に。個人の追徴課税額「平均100万円超え」という事実【税理士が解説】
追徴課税になりやすい例
税務調査で追徴課税となりやすい例について見ていきましょう。 <業種> クラブやキャバクラの従業員や、建設業を営むいわゆる「一人親方」、プログラマーなどの個人事業主の中には、確定申告自体をしていない無申告者も多く、追徴額も大きくなりがちです。また、近年ではインターネットを利用したシェアリングエコノミービジネスや、仮想通貨(暗号資産)による売却益などの申告漏れから多額の追徴課税が発生するケースも増えてきています。 <売上> 売上において税務調査で指摘されやすいポイントとしては、当期の売上として処理するところを来期の売上としてしまう「期ズレ」が挙げられます。例えば、12月に発注を受けて同月中に納品した場合、売上を計上するのは原則として納品した日付となります。実際の入金は翌年の1月であった場合でも、12月中に売上を計上し、入金があるまでは売掛金として処理する必要があります。もし翌年の1月に入金されたタイミングで売上を計上した場合、この取引については申告漏れであるとみなされる可能性があるのです。期ズレ以外に、本来計上するべき売上が漏れていたり、計上した金額が少なかったりする場合にも、税務調査で発覚すれば過少申告として指摘されることとなるでしょう。 <利益> 売上は適正に計上していても、経費の水増しなどで利益が少ないように申告している場合は、これも追徴課税の対象となります。経費を証明するレシートや領収書がない場合や、経費とは関係ない支払いを経費として計上している場合、仕入先などと共謀して不正な領収書を入手、計上した場合なども、税務調査で指摘を受けやすいでしょう。 このほかにも ・架空のタイムカードによる人件費の水増し ・在庫品の計上漏れ ・使途不明な旅費交通費 ・私的利用が疑われる接待交際費や備品購入費 なども税務調査で見つかりやすく、追徴課税の対象となりやすいものです。自分では正しく計上しているつもりでも、プロや専門家が見れば間違っている、といったケースも少なくありません。 ■消費税の税務調査にも注意が必要 インボイス制度の導入により、中小規模の個人事業主も課税事業者となったケースが増えています。軽減税率の計算ミスや計上漏れに加え、海外からのアプリダウンロードなど、国境を越えた役務の提供に係る消費税(クロスボーダー消費税)の計上漏れなど、消費税の税務調査にも注意が必要です。