延長十回、フリーマンのサヨナラ満塁本塁打で盛り上がる大谷（中央）らドジャースナイン（撮影・水島啓輔）

【ロサンゼルス25日（日本時間26日）】米大リーグのワールドシリーズ（WS＝7回戦制）が開幕し、ドジャースはヤンキースに延長十回、6―3で逆転サヨナラ勝ちし、白星発進した。大谷翔平投手（30）は「1番・DH」でWS初出場を果たし、1点を追う八回に右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、反撃のきっかけをつくった。フレディ・フリーマン内野手（35）のWS史上初となるサヨナラ満塁本塁打で劇的な勝利を収め、悲願のワールドシリーズ制覇まで残り3勝とした。 120度目のWSで史上初の一発が飛び出した。サヨナラ満塁本塁打に、6年ぶりのWS開催となったドジャースタジアムが沸く。大谷はフリーマンが放った打球を目で追うとダッグアウトを飛び出し、生還したヒーローを荒々しく祝福した。 「最高の本塁打で、最高の勝ち方を1戦目に持ってこられた」 最高峰の舞台で生まれたメモリアルな一発に、大谷は興奮を隠せなかった。2―3の延長十回2死満塁。フリーマンが左腕コルテスの直球を一閃。打った瞬間に確信できる逆転サヨナラ満塁弾が右翼席に着弾した。5万2394人のファンで埋まった球場が揺れるほどの大歓声はしばらく鳴りやまず、劇勝の余韻が充満した。 両軍の先発が好投し、ロースコアの展開が続いた開幕戦。大谷が反撃の口火を切った。1―2の八回1死で「いい打席だった」と右翼フェンス直撃の二塁打。WS初安打をマークすると相手の中継が乱れた間に三進し、目の前の自軍ベンチに向かって咆哮し、ナインを鼓舞した。 次打者ベッツの中犠飛で同点のホームを踏み、「三塁まで行けたのは良かった」とうなずいた。WS初出場で5打数1安打1得点。ヤンキース・ジャッジとの両リーグ本塁打王対決として注目を浴びる大谷が頂上決戦でも存在感を示した。 右足首の負傷を抱えながら強行出場するフリーマンの闘志に刺激を受ける。一回、左翼線への当たりで三塁まで激走し、延長十回にサヨナラ本塁打を放った3番打者は、患部をテープで固定し、右脚を引きずりながら懸命にプレーを続ける。 グラウンド外での長時間の治療を含め、同僚の姿を間近でみる大谷は「苦しい状況で痛みもあると思う。その中で勝つために一生懸命、プレーする姿は、必ず影響を与えると思う。チームメートとしても感銘を受ける」と敬意を表する。

ヤンキースとの東西名門対決は43年ぶりで、世界中の注目を集める今年のWS。第1戦を劇的な勝利で先勝した。「投手陣も含めて素晴らしい勝ち方だった。この流れで明日（の第2戦）もいい試合をしたい」。世界一まで残り3勝。唯一の目標として掲げてきたワールドシリーズ制覇へ、頼もしい仲間とともに力強く踏み出した。（横山尚杜）