24日が交渉期限「イラン核協議」の行方はどうなる? 放送大学教授・高橋和夫
国連安保理の5常任理事国にドイツを加えた「P5+1」と呼ばれる諸国とイランとの間での同国の核開発をめぐる交渉が大詰めに入っています。この交渉には11月24日という期限が設定されています。この期限を前に18日にオーストリアの首都ウィーンで最終的な話し合いが始まりました。 【図解】イラン核問題の「6カ国協議」って何?
遠心分離装置の数など大きい隔たり
イランの核開発に関しては、同国は平和利用のためであるとしています。しかしアメリカやEU(欧州連合諸国)は軍事転用を疑いイランに対する経済制裁を実施してきました。 2013年にイランでロウハニ新大統領が誕生すると、同国はP5+1との積極的な対話路線へと方向を転換しました。そして同年末に暫定的な合意が成立しました。この合意に基づいてイランは保有する濃縮ウランを核兵器に転用しにくくするなどの措置を取りました。引き換えに諸大国は経済制裁の一部解除などで応じました。そして半年後の最終的な合意を目指しての交渉を開始しました。しかし、期限内の合意には至らず交渉期間が、延期されていました。11月24日が新しい期限とされたのです。 諸大国は、ウランの濃縮のための遠心分離装置の数の制限などをイランに対して求めています。仮にイランが核兵器製造を決断したとしても、実際に核兵器を保有するまでに長い時間がかかるようにしようとしているわけです。イランは、諸大国に対して核の平和利用の権利を承認するように求めています。また経済制裁の完全撤廃も望んでいます。遠心分離装置の数などで両者の相違は大きく、交渉は難航しています。
協議をめぐる各国の事情
イラン国内には、ロウハニ政権に批判的な勢力が存在します。安易な妥協は、支持が得にくいという国内事情があります。 諸大国の側にも、それぞれのお家の事情があります。特にアメリカの議会にはイランを脅威とみなしているイスラエルの影響力が強いのです。特に共和党にはです。イスラエルはイランのウラン濃縮施設そのものの解体を主張しています。そして、この11月始めの中間選挙で、その共和党がアメリカの上下両院で過半数を押さえました。共和党が支配するアメリカ議会はイランへの経済制裁の撤廃に反対するでしょう。議会の動きがオバマ政権の対イラン交渉の手を縛る役割を果たしそうです。交渉は最後の段階になって、ひときわ難しい局面を迎えているわけです。