来年度から全小中学校に人型ロボット「ペッパー」導入へ ──静岡県藤枝市
静岡県藤枝市は来年度から、ソフトバンクが開発し販売している人型ロボット「Pepper(ペッパー)」をすべての市立小中学校に導入して授業を行う予定だ。同市は、法人用ペッパーの活用実績を踏まえて、ソフトバンクのPepper社会貢献プログラムに応募。授業は、ソフトバンクと立命館大学が協力して作ったメニューにもとづいて行われるという。
休み時間も惜しんでプログラミングに取り組む
藤枝市には、市立小学校が17校、市立中学校が10校あり、1学級の人数は最大35人。ペッパーを授業で児童・生徒6~7人に1台ずつ割り当てられるよう、人数の多い学校には7~8台、少ない学校には4~5台、計161台導入する予定という。 今年1月には、市立藤枝中学校の技術の時間に、試験的にペッパーの授業を実施。生徒らは、ペッパーを動かすプログラミングについて学び、実際に、言葉を発するプログラムを作って、ペッパーと会話するなどした。 「普段、ロボットを動かす側に回ることはなかなかないので、子供たちは大喜び。休み時間も惜しんでプログラミングに取り組んでいました」(藤枝市企画経営課)。 試験授業では、プログラミング講習を行っている都内の業者が授業をサポートしたが、実際の授業では、教師が指導していくことになるため、教師からは期待とともに不安の声も聞かれるという。 ロボットのプログラミングの指導に不安をもつ先生に対しては、ソフトバンクが遠隔でサポートをするとのことだ。市はペッパーの授業の意義について「子供たちにロボットやプログラミングに興味をもってもらうということにとどまらず、論理的に物を考える思考を育み、困難にぶつかった時に解決する力を高めていくことを期待している」と話している。
藤枝市とペッパーの関わり
藤枝市がペッパーと関わりを持ち始めたのは2016年2月から。ロボットが身近なものになっていくことが見込まれる中で、行政としてロボットを活用できないか、との視点から、法人用のペッパーを1台リース。受付案内の仕事のほか、市内の幼稚園や公民館などで活用している。 「ペッパーがきた当初は『仕事なくなっちゃうね』と皆から言われました」と話すのは、今もペッパーの横で市役所の受付案内をしている鈴木美千代さん。 ペッパーの仕事ぶりはというと、反応するまでに時間がかかってしまったり、固まってしまったり、まだまだ”一人立ち”は難しいようで、鈴木さんが”サポート”しつつ仕事をしているようだ。ただ、受付にしばらくペッパーの姿がないと、「多くの来庁者から『ペッパーはどうした?』と聞かれる」(鈴木さん)とのことなので、ペッパーは市民にとって気になる存在になっているのかもしれない。