2024年下半期のGⅠデータまとめ レガレイラやフォーエバーヤング、シンエンペラーら3歳馬が古馬相手に躍動
来年以降の飛躍へ 若駒たちの決戦
次に世代限定GⅠ・5レースを振り返る。3歳三冠最終戦は、牡牝ともにルメール騎手が制覇した。 秋華賞では桜花賞馬ステレンボッシュとオークス馬チェルヴィニアが二冠をかけて激突。レースは1000m通過57.1のハイペースを道中7~8番手で進めたチェルヴィニアが直線で力強く抜け出し、二冠目を奪取した。また後方から猛然と追い込み、2着だったのはボンドガール。「伝説の新馬戦」と同じワンツーで今年の牝馬三冠路線は幕を閉じた。 ダノンデサイルが2冠に挑んだ菊花賞。逃げると予想されていたメイショウタバルが逃げず、レースは道中で次々と先頭が目まぐるしく入れ替わる難解な展開となった。 そんな中でも、勝ったアーバンシックに騎乗していたルメール騎手は冷静だった。向正面でジワッとポジションを上げ、4コーナーではいつの間にか3番手。最後の直線では持ち前の末脚を発揮して、2着ヘデントールに2馬身半差をつけた。 一方、ダービー馬ダノンデサイルは道中でポジションを落とし、最後の直線で猛然と追い込むも6着。不利があり不完全燃焼な結果に終わった。しかし、暮れの有馬記念では積極的な逃げで3着に巻き返している。 2歳女王決定戦・阪神JFはアルマヴェローチェが制し、岩田望来騎手は61回目の挑戦で初のJRA・GⅠ制覇となった。1着アルマヴェローチェ、2着ビップデイジー、3着テリオスララの3頭はいずれも前走からの距離短縮組。例年以上に体力勝負のタフなレースだったと言える。 朝日杯FSで2歳マイル王の座に就いたのはアドマイヤズーム。これで同レース通算4勝目となる「朝日杯の鬼」川田騎手に導かれ、前走の未勝利勝ちから一気にGⅠ馬へと駆け上った。 1着アドマイヤズーム、2着ミュージアムマイル、3着ランスオブカオスは全頭が内枠かつ前走が京都コース。内を立ち回る器用さと京都経験が重要となった一戦であった。また、3着ランスオブカオスに騎乗した吉村誠之助騎手は、初のGⅠ騎乗で馬券に絡むという快挙を達成。これからの活躍に大いに期待したい。 阪神で開催されていた2歳マイルGⅠの前記2レースは今年、京都で行われた。例年は活躍が目立つアルテミスSやサウジアラビアRCといった東京好走組が揃って馬券外に敗れた背景にはその影響もあったか。 来年の桜花賞は阪神マイルでの施行となる。今回敗れた前走東京組がそこで巻き返してくる可能性は十分考えられる。 最後に2歳中距離王決定戦、ホープフルSはクロワデュノールが制した。デビューからコンビを組む北村友一騎手はクロノジェネシスで制した2020年の有馬記念以来、実に4年ぶりのGⅠ制覇。大ケガを乗り越えて掴んだ久々の勲章、レース後の涙のインタビューは感動を呼んだ。 クロワデュノールは新馬戦、東京スポーツ杯2歳S、ホープフルSと無傷の3連勝。これは2020年の三冠馬コントレイルと全く同じ歩みである。来年のクラシック戦線はこの馬を巡る争いとなるのは間違いない。 なお、キタサンブラック産駒は2023年にソールオリエンスが皐月賞を制しているものの、牝馬も含めてクラシックのタイトルはそれが唯一となっている。ダービーはイクイノックスとソールオリエンスの2着が最高成績。産駒初のダービー馬となるか、こちらも注目を集めそうだ。