騒音被害の範囲絞られ広がる落胆 厚木基地5次訴訟判決の受け止めは
厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の騒音被害を巡る「第5次厚木基地爆音訴訟」。20日の横浜地裁判決は今回も「騒音は違法」と認め、国に損害賠償を命じた。「抜本的な対策がとられないままだ」として賠償額を増額する一方、空母艦載機の移駐により「騒音は軽減した」として被害の範囲は大幅に絞った。詰めかけた原告らからは落胆の声が上がった。 【写真】横浜地裁前で、関係者にあいさつする大波修二原告団長=2024年11月20日午後1時38分、横浜市中区、杜宇萱撮影 争点は、米空母艦載機部隊が岩国基地(山口県)へ移った後の騒音評価だった。原告側は専門家の分析に基づき、被害の継続を主張していたが、判決は採用せず、国が主張する従来通りの基準に基づいて「騒音は軽減した」と認定した。 判決後の会見で、福田護・弁護団長は「大変残念な判決。岩国移駐後も住人はうるささを訴えている」と悔しさをにじませ、弁護団の関守麻紀子弁護士は「国は健康被害を踏まえて新しい基準を提示すべきだ」と批判した。 艦載機部隊が移った岩国基地の騒音被害をめぐり、提訴している原告団も駆けつけた。井原寿加子さんは「住民の意思を全くくみとらない判決で怒りを覚える」と述べ、「岩国は極東最大の航空基地になり、苦しい思いを毎日している。移駐後、騒音はさらに悪化している。しっかり反対して声をあげていくという厚木の原告団の熱意を持ち帰りたい」と話した。(加藤美帆、村上潤治)
朝日新聞社