在日コリアンの歩み伝える 神戸・長田にミュージアム 写真やジオラマなど多彩に
100年余りに及ぶ在日コリアンの歩みを紹介する「神戸在日コリアンくらしとことばのミュージアム」(愛称・ナドゥリミュージアム、神戸市長田区若松町3)が開館し、18日から一般公開される。構想から10年以上かけ、写真や生活資料、在日1、2世らの証言、仕事や暮らしぶりを伝えるジオラマなど、多彩な展示物をそろえた。在日コリアンのルーツや長田のまちの成り立ちを伝え、共に学べる場所を目指す。(長嶺麻子) 【写真】在日コリアンゆかりの地だけでなく、観光スポットなど、多文化共生のまちを紹介する屋外地図 在日3、4世と世代を重ねた子どもらに、朝鮮半島の言葉や文化を教えてきた「一般社団法人神戸コリア教育文化センター」が、併設のコミュニティーカフェをリニューアル。自らのルーツやアイデンティティーを探し求める同胞や、日本定住の在り方を探る在住外国人らの道しるべになればと、クラウドファンディングで費用を募るなどした。 在日コリアンに焦点を当てた資料館は、東京都港区の在日韓人歴史資料館(開館=2005年)、京都府宇治市のウトロ平和祈念館(同22年)、大阪市の大阪コリアタウン歴史資料館(同23年)に続き4カ所目となる。展示物は同センターや大学教員、地元住民ら約20人で手分けし、分野ごとに検討、準備を進めた。 兵庫県内では明治期から、トンネルや鉄道工事、造船所、鉱山の労働者として在日コリアンが多く暮らし、1936(昭和11)年の神戸市の調査によると、市内に約1万9千人、林田区(現在の長田区)に約8500人が居住。戦後は、ケミカルシューズ産業などで役割を担ってきた。 館内には、神戸開港からの出来事を記した年表や、家族写真、靴づくりの道具などが並ぶ。知らない国に来た心細さ、大阪大空襲から逃れ長田にたどり着いた安心感、司法試験受験や就職での民族差別の理不尽さなど、当時を生きる人たちの思いがつづられた布地も。屋外には長田の多様性を知ってもらおうと、大型の散策マップも掲げた。 4、5千点に及ぶ韓国朝鮮関連の図書を整理し、図書室やセミナー室としての活用も想定。大学などから問い合わせがあるという。同センターの金信鏞(キムシニョン)さん(71)は「歴史的価値の高い資料提供の申し出などもあり、資料館としての可能性を感じている。韓国カルチャーや長田のまちに関心のある人を含め、広く利用してもらえる場にしたい」と話している。 入館料は一般500円など。午前10時~午後6時。火、木曜休み。同ミュージアム(神戸コリア教育文化センター)TEL078・777・2232